家系図の書き方・ルールとは?
◆基本的な書き方を知ろう
①まずは、題名を書きます。紙の右上に「◯◯家系図」と書きます。家紋がわかっていれば画像を入れたいところです。
②紙の天(上側)が過去で、地(下側)が未来です。また、向かって右側が過去で、左側が未来です。
③兄弟姉妹は、生まれた順に右から書きます。
④夫婦は、夫が右です。夫婦の表現は、次の2パターンあります。
1が、古来からの表現方法です。2は、近年生まれた表現方法です。書きやすい方を選んで構いませんが、筆で書いて巻物にするなど、伝統的な方法で家系図を作るのであれば、1の方がよいでしょう。
⑤家系図を書くときに使う線は、次の3種類です。線の色は、血縁関係を表す赤がよいでしょう。
――─(棒線) 実子関係を示す線
===(二本線)養子関係を示す線
・・・(破線) 父子関係不明・代数不明を示す線
⑥名前・続柄(出生の順番)・生年月日・死亡年月日を書きます。戒名(法名・法号)を書いてもよいでしょう。
図表2を参考に、これから美々が作る家系図でさらに学んでいきましょう。
基本的に家系図は、見やすければ自由に書いてよいですが、最低限、次の2点は守りましょう。
・上から下、右から左を時系列とする
・兄弟姉妹は生まれた順に右から、夫婦は夫を右に書く
◆人名と注釈のバランス
・人名は目立たせましょう。
・続柄は、人名の右に、人名より小さな字で入れるとよいでしょう。
・続柄は、系図の線で両親がわかっている場合は、単に「長男」「長女」等。養子や嫁いできている場合は、判明していれば両親の名も書くとよいでしょう。
・代数を入れる場合は、バランスを見て続柄の上か右あたりがよいかもしれません。
・注釈(出生日や没年などの情報)は、人名より小さな字で。また、人名より1スペース分以上は下げるとよいでしょう。
・注釈は、右から時系列に並べましょう。一番右が出生日、一番左が没年、あるいは判明していれば、戒名もあわせて書くのがよいでしょう。
◆複雑なケースは・・・
その他、複雑なケースは、ケースバイケースで見やすいようにします。例えばよくあるのが、離婚や死亡などの理由で前妻と別れて後妻がいる場合、右から時系列というルールを優先させるとこうなります。
ですが、前妻と後妻が婚姻しているようにも見えてしまいます。そこで、わかりやすさを重視するとこうなります(図表5)。
古来からの表記方法を優先するなら前者ですが、お好みでわかりやすい方を選んでもよいと思います。
戸籍は保管期限を過ぎると二度と取得できない
◆戸籍謄本と除籍謄本の違い
「戸籍謄本」と「除籍謄本」の違いは何でしょうか。
戸籍謄本とは、現在の戸籍のことです。世帯主をはじめ、その家族が載っています除籍謄本とは、記載されている人物すべてが、結婚か離婚、死亡、転籍(本籍地を変更)により、誰もいなくなったことを表した戸籍のことです。
その他、「改製原戸籍(かいせいげんこせき)」という、戸籍制度が改正された際にできる戸籍もありますが、これは除籍謄本に近いです(本書では、便宜上、すべてを含めて「戸籍」と表現することがあります)。
ついでに、「謄本」と「抄本」についても述べておきましょう。戸籍には、戸籍の一部(例えば、特定の1名のみ)を記載した抄本と、すべてを記載した謄本とがあります。家系調査で請求する戸籍は、すべて謄本です。
◆戸籍はどこにある?
どの家でも、家系図を作るなら、「戸籍調査」が絶対に必要です。
自分の戸籍謄本は、「自分の本籍地が置かれている役所」にあります。結婚をしていれば、自分あるいは配偶者(たいていは夫)が筆頭者の戸籍。結婚していなければ、両親いずれか(たいていは父親)が筆頭者の戸籍があります。
自分→父親(1代前)→祖父(2代前)→曾(そう)祖父(3代前)→…と順に、古い戸籍(除籍謄本)をたどっていきますが、代々同じ地に住んでいる(同じ地に本籍地を置いている)と、一カ所の役所に代々の戸籍があることもあります。逆に、全国を転々として、各地の役所に先祖の戸籍が眠っていることもあります。
これからの物語で語られる葛西家の場合は、現在は札幌(さっぽろ)市清岡区(架空の区)に本籍があり、物語の舞台となっている清岡区役所に最初の戸籍がありました。この後、葛西美々は、釧路(くしろ)市で生まれた父や阿寒(あかん)村で生まれ釧路市内を転々とする祖父の戸籍、さらには青森から北海道に渡った曾祖父の戸籍をさかのぼって追い、青森県の役所から郵送で取り寄せます(図表7)。
◆戸籍・除籍謄本には、保管期限がある
全国のどこかの役所に保管されている先祖の戸籍は、子孫が探しに来なければ、この先誰の目にもふれることなく、永遠に破棄されてしまいます。保管期限を迎えた当日や役所の年度末、あるいは市町村合併のタイミングで、誰に通知されることもなく、役所や法務局の冷たい倉庫に運び込まれ封印されます。東京や大阪、あるいは各都道府県の都心部の役所では、倉庫に保管されるのではなく、本当に破棄処分されています。
一度封印された先祖の戸籍は、二度と取得することができません。保管期限は、現在150年で、明治期の戸籍が一日ごとに破棄されています。
すぐにでも調査を始めないと、江戸末期に生まれ明治維新期を生きた先祖のことが永久にわからなくなるのです。古い戸籍・除籍謄本が破棄されて一番困るのは、江戸末期~明治初期の先祖の「名前」と「本籍地(先祖が住んだ地)」が判明しなくなることです。
江戸末期~明治初期の先祖の情報を戸籍で得ることができないと、その後の郷土誌調査やお寺・お墓探しなどが不可能になってしまいます。江戸時代は今とは違い、人の移動に制限があった時代です。武士も庶民も、その地を領地とした藩に管理されていました。古い時代は、「戸籍の本籍地=住所」でした。
戸籍から本籍地がわかれば、先祖は代々その地に住んでいた可能性が非常に高いです。先祖のお墓や先祖が代々使っていたお寺(菩提寺)が、その地にあると考えられます。
◆戸籍で、150~200年前までさかのぼれる
日本に戸籍制度ができたのが1872(明治5)年(壬申(じんしん)戸籍)で、現在取得できる一番古い戸籍は、1886年(明治19年式戸籍)です。戸籍では、150~200年前の先祖までたどれます。江戸末期~明治初期の先祖の名前や生まれた年、亡くなった年がわかります。世代数(両親を1代前と数える)でいうと、おおよそ3~6代前までわかります。
さかのぼれる世代数は、先祖の存命期間や隠居・分家時期、あるいは戸籍の改正時期等に左右されますが、平均4~5代前までわかることが多いです。
戸籍取得に必要な書類・役所窓口や郵送での取り寄せ方
戸籍・除籍謄本の取り寄せ方
では、戸籍の具体的な取得方法を解説しましょう。といっても、これから述べることのすべてを理解する必要はありません。
戸籍の取り扱い事務は、市町村役場で行われています。今すぐ役所の窓口に行って、「家系図を作るために戸籍を取りたいのですが、どうすればいいですか?」と聞いてみましょう。役所の担当の人が、戸籍の取り方を教えてくれるはずです。
前に申した通り、戸籍は保管期限があるので、なるべく早く、必ず取ることが大事なのです。戸籍の取得は、「習うより慣れろ」「巧遅(こうち)は拙速(せっそく)に如(し)かず(上手だが遅いよりも、下手でも速い方がよい)」です。
◆まずは、現在の自分の戸籍謄本を取る
戸籍を取るのに必要なものは、図表8の通りです。
表の「請求時に必要な情報」の項目にある「請求者」とか「筆頭者」とか「請求に係る者と請求者の関係」とか、一見ややこしいですが、順を追って実践的に把握していきましょう。
「戸籍の請求範囲」の項目にある「直系尊属」とは、すなわち、血のつながりのある両親のことです。例えば、「保管分すべて」とは、父の戸籍の他に、同じ役所に父の父(祖父)やその父(曾祖父)の戸籍があれば、それもすべてほしいということです。
また、両親の家系を調べる場合は、「父方直系尊属および母の父方直系尊属保管分すべて」と請求します。すべての系統の場合、「直系尊属保管分すべて」とします。お子様・お孫様がいて、その戸籍も取る場合は、「直系卑属保管分すべて」と請求します。
◆役所の窓口での請求方法
役所窓口の戸籍証明請求書を使います(図表9)。
◆郵送での請求方法
遠くの地域にある役所がある場合などは、郵送で戸籍を請求しましょう。郵送での請求に必要なものは、次のものです。
・切手、封筒・返信用封筒(A4版) ※A4版なのは、戸籍に折り目を付けないため
・定額小為替(郵便局で買います)
・身分証のコピー
・必要な戸籍とのつながりを示す戸籍のコピー
・請求時に必要な情報を書いたメモ(または戸籍証明請求書)
・戸籍の請求範囲を書いたメモ