今回は、今後の株式市場のリスクを想定する上で注視すべき政局、日銀政策のポイントについて考察します。※本連載では、経済評論家・杉村富生氏の著書、『攻めにも守りにも強い!株は100万3点買いで儲けなさい!』(すばる舎)の中から一部を抜粋し、今後の株式市場の狙い目はどこにあるのか、激変する世界経済と株式市場の分析を軸に解説していきます。

長期政権(政治の安定)は株高につながるが…

第2次安倍内閣は2012年12月26日に発足し、第3次、第4次と今日まで続いている。この間、日経平均株価は2012年11月13日の8619円(安値)が、2018年1月23日には2万4129円(高値)になった。値幅にして1万5510円、実に2.8倍の値上がりである。

 

一方、為替はどうか。2012年11月9日の1ドル=79円06銭(安値)が、2015年6月5日には125円86銭(高値)になった。こちらも46円78銭の円安(円高是正)である。アベノミクスがこの間の株高・円安を演出したのは、間違いないだろう。

 

これは従前より繰り返し述べてきたことだが、「政治の安定は経済に勝る!」、「政治の安定こそ株高の最大要因!」なのだ。第2次以降の安倍政権は、高い支持率を背景に国政選挙を勝ち続け、その結果、アベノミクスに代表される数々の施策を講じることができた。マスコミはいろいろと批判するが、大幅な株価上昇と円高是正は、これらの成果である。

 

2018年9月、安倍首相は自民党総裁選で石破茂元幹事長に勝利した。これで、最長2021年9月までの政権運営が可能となった。株式市場にとっては、「まずひと安心」といったところである。何といっても、長期政権(政治の安定)は株高につながる。

 

しかし、逆の見方をすれば、安倍首相は2021年9月までにかならず退任することになる。この間、2019年の春には統一地方選挙があり、4月30日には天皇陛下が退位される。そして、5月1日には新しい天皇陛下が即位され改元となる。

 

さらに、2019年の夏には参議院選挙があり、10月1日には消費税の引き上げ(8%→10%)が予定されている。そして、いよいよ2020年の夏には東京オリンピック・パラリンピックの開催である。これらのビッグイベントをこなしながら、安倍首相は求心力を保ち続けることができるのか。

 

[図表]2019年以降に予定される主な行事日程

 

このところ、永田町では「ポスト安倍」をめぐる話が騒がしい。マーケットでは、今後、折に触れて「政治」にまつわる出来事が話題を集めるだろう。その際、注意しなくてはならないのは、内閣支持率である。

 

これまでも、安倍内閣の支持率が急落した場面では、全般相場(TOPIX、日経平均株価などの指数)が軟調な展開となっている。特に、外国人は内閣支持率の動向に神経質だ。だからこそ、テーマ性を内包する好業績銘柄、将来性のある〝新〟成長株といった「強い銘柄」にターゲットを絞る戦略・戦術が一段と重要になる。

日銀は「ステルス・テーパリング」を進めている⁉

日銀は、2018年7月末の金融政策決定会合で、金融緩和の長期継続を決めた。「物価上昇2%の実現」は道半ばで、達成時期は定められていない。これは、目標が安定的に達成されるまで、マネタリーベース(資金供給量)がゆるやかに拡大することを意味する。一方、この金融政策決定会合では、8月6日よりETF(上場投資信託)の購入方法を見直すことも明らかにされた。買い入れ方針の修正である。

 

日銀のETF購入額は、2016年7月末に年間6兆円をめどとすること(増額)が決められている。今回、買い入れ額については、「株式市場の状況に応じて、上下に変動しうるものとする」とした。そして、買い入れについては日経平均株価連動型の購入を減らし、TOPIX連動型を増やすという。

 

これにより、一部の市場関係者の間で「ステルス・テーパリング(見えざる緩和縮小)」が、本格的に開始されたのではないかとの見方が広まっている。

 

実際、2018年8月のETF購入額は1406億円となった。10月以降はおおむね元のペースに戻っているが、これは、年間購入額の増額が発表された以降、最低の金額である。

 

また、もう1つ注目したいのは、日銀によるETFの「購入ルール」が“消滅”したことである。そのルールとは、午前中にTOPIXが前日比0.4%以上値下がりすると(前場終値ベース)、後場に日銀がETFを買う、というものだ。しかし、8月は前日比0.4%以上値下がりしたときでも、日銀が買わない日があった。8月10日と13日には買っているが、このときの下落率(前日終値→前場終値)は、それぞれ0.56%と1.72%である。

 

市場関係者のなかには、「本格的なテーパリング(緩和縮小)が始まるのではないか」と懸念する向きもある。一方、「大きな調整局面に備えて、買い入れ余力を温存しているのだろう」との声もある。ただ、これまで日銀によるETFの大量購入が「本来あるべき株価形成を著しくゆがめてきた」と批判されてきたのも事実だ。黒田総裁が就任して以来、日銀のETFの累計購入額は20兆円を超えている。

 

しかし、日銀がETFの購入を大幅に減額すれば、株式市場に与える影響は極めて大きなものとなる。

企業の不祥事は市場にどのような影響を与えたのか

さらに、国内のリスク要因としては、企業サイドのトラブルに注意しておく必要があろう。もちろん、これは事前に予測するのは難しいが、想定外の出来事に対する心構えがあれば、万が一のとき機敏に対処することも可能となる。

 

2018年には、海外ではアップル・ショック、エヌビディア・ショックがあった。国内では、SUBARU7270など大手自動車メーカーで、完成車の品質検査不正が表面化した。油圧機器の大手、KYB7242による免振装置のデータねつ造も発覚している。不祥事発覚後、当該企業の株価は急落した。SUBARUは、2018年の始値3612円が11月20日に2495円(終値 下落率30.9%)、KBYに至っては年初の6550円(始値)が10月26日に2312円(終値 下落率64.7%)まで売られている。

 

2018年の11月19日には、衝撃的な事件が起きた。日産自動車(7201のカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で、東京地検特捜部に逮捕されたのである。何と、有価証券報告書に記載のない金銭報酬が、2018年3月期までの8年間で、約80億円に達する疑いがあるという。また、SAR(ストック・アプリシエーション権)を使った株価連動報酬についても、ゴーン氏は2018年3月期までの4年間に約40億円を付与されたとされるが、これについても有価証券報告書に記載されていない。

 

ゴーン氏は、逮捕後3日目の11月22日、日産自動車の会長職を解任されたが、いったい、どうしてこのようなことができたのか。ゴーン氏の容疑もさることながら、日産自動車には、企業としてのコンプライアンスが問われている。

 

日産自動車の株価は、11月19日の終値1005.5円が翌20日には940円まで急落(終値 下落率6.5%)し、株主は多大なダメージを被った。問題は、今後の展開にある。

 

同社のイメージダウンは著しく、当面、自動車の販売に大きく影響するだろう。だが、配当は年57円を予想している。減配がないとすれば、950円以下の株価は配当利回りが6%超になる。日産自動車に43%出資するルノーは、利益の約5割が同社からの配当金だ。経営上、日産自動車に減配を求めることは考えにくいが、予断は許さない。

 

なお、有価証券報告書に虚偽記載をした場合、法人に対しては、7億円以下の罰金が課される。かつて、オリンパス(7733などが虚偽記載をして問題となったが、その際、東証は厳しい措置を検討している。

本連載は、杉村富生氏の著書『攻めにも守りにも強い!株は100万3点買いで儲けなさい!』(すばる舎)から一部を抜粋したものです。掲載いたしましたチャートの銘柄表記は、一部を除きゴールデン・チャート社に準じております。また、日経平均株価は正式には小数点第2位の銭表記までありますが、本連載では煩雑になるのを避けるため、小数点以下は切り捨てて表記しています。なお掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

攻めにも守りにも強い! 株は100万3点買いで儲けなさい

攻めにも守りにも強い! 株は100万3点買いで儲けなさい

杉村 富生

すばる舎

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