中国株式市場の推移
上海総合指数とMSCIチャイナ指数
11月の中国株は概ね反発
■11月の中国株式市場は、米中貿易摩擦の緩和期待が高まるなか、買い戻しが先行する展開となりました。上海総合指数は、中国政府がインフラ投資を加速させていることなどを好感し、19日には約1カ月ぶりに節目の2,700ポイントを回復しました。しかし、23日には、米政府が主要同盟国に対し、中国の通信機器大手、華為技術(「ファーウェイ」)の技術の不使用を要請しているとの報道を受けて、大きく下落しました。上海総合指数は月間で小幅安となりました。一方、他の中国株式指数は概ね上昇して終了しました。
米中首脳会談での一時停戦を一旦好感
ファーウェイ幹部逮捕で再び急落
■トランプ米大統領と習近平中国国家主席は12月1日、アルゼンチンのブエノスアイレスで首脳会談を開きました。両政府は、米国による中国製品に対する関税の引き上げを猶予することで合意し、知的財産権の保護など5分野について、今後90日間を期限に協議を行うことが示されました。両国の対立激化はひとまず回避された格好となり、株式市場はこれを一旦好感して上昇しました。しかし、5日に「ファーウェイ」の幹部の逮捕が明らかになると、米中対立の激化懸念が再燃し、再び株式市場は急落しました。
当面は不透明感が残る状況
■「ファーウェイ」は中国トップレベルの民営企業で、ハイテク企業の代表格であり、中国最大級の輸出企業でもあります。米中首脳会談では貿易紛争の一時停戦が合意されましたが、ハイテク分野に関する両国の溝は深く、最終合意への道のりは楽観できるものではありません。今後は知的財産権の保護など5分野での具体的な協議の進展が焦点になり、株式市場にとって不透明感が残る状況が見込まれます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2018年12月07日)
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