少額からできる社会貢献…「寄付先」の選び方とポイント

日本においてNPO法人が社会貢献活動の一翼を担っていますが、それらの活動を支える資金源として、富裕層からの寄付や遺贈が期待されています。本連載では、ファンドレイジングアドバイザーの肩書きを持つ宮本聡氏が、実際に寄付や遺贈を行うときの具体的な方法や寄付先などについて解説します。

「フィランソロピー・アドバイザー」の必要性

筆者はNPOの資金調達(ファンドレイジング)に関するアドバイザリー業務を生業の一つにしていますが、「寄付者」に対する社会貢献活動のアドバイスをする「フィランソロピー・アドバイザー」という業務も担っています。寄付などの社会貢献活動をしたいと思っている個人や企業からの要望により、最適な活動や寄付先の提案するのがその役割です(「フィランソロピー」については入門編第一回のコラム『ビル・ゲイツ、バフェット、ソロス…彼らが寄付をする理由』をご覧ください)。

 

社会貢献に対する関心が高まる中で、具体的な活動方法や寄付先に対する情報が一般の方には不足していることは否めません。

 

[図表1]寄付の理由

出所:内閣府「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」
出所:内閣府「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」

[図表2]寄付の妨げの理由

出所:内閣府「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」
出所:内閣府「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」

 

内閣府が2017年3月に発表した「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」では、全国に居住する満20歳〜69歳までの男女9,000人を対象に、寄付やボランティアへの参加実態などを調査しています。

 

寄付をした理由としては「社会の役に立ちたいと思ったから(59.4%)」が最も高い反面、寄付の妨げになる理由としては「寄付先の団体・NPO法人等に対する不信感があり、信頼度に欠けること(31.3%)」や「寄付をしても、実際に役に立っていると思えないこと(28.2%)」が高く、「十分な情報がないこと(16.2%)」「手続きがわかりにくいこと(11.9%)」と続いています。

 

この調査結果を逆の視点から見ると、信頼できる団体や寄付ニーズなどの情報をもっと寄付者が入手できたならば、寄付は促進されるものと読み取れないでしょうか。そういう意味で、今後は筆者のような「フィランソロピー・アドバイザー」の必要性が徐々に増していくように感じます。

 

そんな筆者が実際に相談を受けた際に相談者に伝えている、寄付先の選び方や具体的な社会貢献アクションについて、いくつか紹介してみたいと思います。

寄付文化の広がりを阻害する「大きな誤解」

具体的な寄付先選びや活動紹介の前に、一つ問題提起をさせていただきます。

 

皆さん、寄付は多額・高額でないとしてはいけないものだと思っていませんか?

相当な余裕資金がないとできないものだと思っていませんか?

 

「いつか寄付ができるぐらいの身分になりたいものだ」、そんな声を聞くことは少なくありません。実は筆者も、10年ほど前まではそんな風に思っていました。そして「いつか寄付ができるぐらいお金を稼いで、社会に貢献してみたい」、そんなことを考えていた時期もあります。

 

このときの筆者が持っていたイメージは、具体的にいうとだいたい100万円ぐらいの金額です。100万円もの金額を見返りのないことに支出するというのは、相当な収入や資産がないととてもできません。

 

前述の内閣府の調査で、寄付の妨げになる理由の一番に「経済的な余裕がないこと(50.0%)」が挙げられているのは、実はこんな誤解も含まれているのではないかと思っています。

 

もし読者の方に、10年前の筆者と同じように考えている人がいたならばこれは大きな誤解です。実は寄付は、500円〜1,000円程度の負担にならない金額でも、寄付先のNPOからはとても感謝されます。

 

実際に同調査によれば、個人の年間寄付金額は「1円以上〜2,000円未満」が42.9%と最も高くなっています。寄付経験者の年間寄付回数も、「1回」が30.2%と最も高く、「2回」の23.1%と合わせると50%を超えるのです。

 

「寄付は一度にたくさんの金額をしなければならない」「一度寄付したら何度も寄付をしなければならない」という思い込みから、「寄付は高尚なものだ」「寄付はハードルが高い」と考えがちですが、この調査結果を見ると、心理的障壁は少し払拭されるのではないでしょうか。

 

[図表3]個人の年間寄付金額

出所:内閣府「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」
出所:内閣府「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」

少額からでも寄付ができる3つの方法

いくらからいくらまでが少額かというと一般的な線引きは難しいのですが、このコラムの読者であれば数百円〜1万円ぐらいまでの寄付は、比較的少額と呼べるのではないでしょうか。少額でできる寄付として、代表的なものをいくつか挙げてみます。

 

募金箱に入れる

皆様にもお馴染みの昔ながらの方法です。飲食店、小売店、街頭、NPO主催のイベント会場などで設置されている募金箱に任意の額を投げ入れます。金額は小銭か1,000円程度が目安です。

 

ここに入れた寄付金は匿名で寄付されたものとして扱われ、寄付金の領収書などは発行されません。寄付者は個人情報を記入する必要がなく気軽に瞬間的な感情で寄付ができる反面、その寄付がどのように活用されたかなどの報告は個別のコミュニケーションで届くことはなく、後日寄付先のNPOから公に発信される情報で知ることになります。

 

「おつきあいでする寄付」あるいは「何かよいことをした気分」を味わう性質といえます。

 

銀行振込やクレジットカードで単発の寄付をする

 

何かのきっかけで、NPOの活動や代表者・スタッフなどを知ることで、「支援したい」「想いと託したい」という感情が沸き起こってする寄付です。以前は現金書留で少額寄付を送るということもありましたが、今は銀行振込やクレジットカード決済で行うことが多くなりました。

 

筆者が非営利の世界に最初に触れた10年前は、クレジットカードで寄付金を決済できるのは一部の限られた大手NPOだけでしたが、最近では比較的小規模なNPOであってもHPにクレジットカード決済の機能をつけることができるようになりました。NPOに決済機能を提供する外部サイトも増えてきましたので、寄付は手軽になってきています。

 

この単発・少額の寄付の中にも、NPOの活動そのものを支援する「一般寄付(寄付先団体が自由に使える)」と、具体的な活動(プロジェクト)を支援する「指定寄付(寄付を受け付けたときに明示した使途に限定される)」という種類があります。数千円程度の寄付であれば、寄付先に喜ばれるのは一般寄付ですが、寄付者の心理としては指定寄付のほうが応援しやすい(=役に立つことがイメージしやすい)かもしれません。

 

いずれにしても少額の寄付で極端に丁寧なお礼や報告などを求めることは欲張りすぎですが、この単発寄付をきっかけに丁寧なコミュニケーションをしてくるNPOは、ステークホルダーを大切にする意識が高く、その点で信頼してよいでしょう。NPOやその活動を知って共感して、その団体をもっと知りたいと思ったときに、はじめの一歩として少額・単発の寄付をしてみることはお勧めできます。

 

クラウドファンディングで支援する

 

少額・単発寄付をある種のゲームのように集める仕組みとして広がってきているのがクラウドファンディングです。2011年に日本で最初のクラウドファンディングサイト「Readyfor」が立ち上がってから、いま日本には大小合わせて200ものクラウドファンディングサイトがあるといわれています。

 

NPOにとってのクラウドファンディングは、寄付金の使途や目標金額を明示して期間限定で支援を募る「オンライン寄付キャンペーン」であるといえます。普段よりもきめ細やかに「代表者や担当者の想い」「団体が取り組むす社会課題」「寄付を集めてやりたいこと」「プロジェクトを通して生み出したい価値」などを発信しているので、友人知人のシェアで流れてくるクラウドファンディングの情報を目にしたときには、「なんだ、お金くださいってお願いか…」といって流さずに、ぜひプロジェクトページを覗いてみてください。

 

支援をしたあとの報告も、サイト機能の活動報告がアップされたり、メールが送られてきたりしますので、普段なんでもないときにする寄付よりも臨場感を味わうことができます。イベント的な盛り上がりが好きな方にはお勧めの支援の方法です。

営業コンサルタント
ファンドレイジングアドバイザー
(株)シティインデックス海外不動産事業マネージングディレクター
認定特定非営利活動法人ACE 理事
公益財団法人 ふじのくに未来財団 理事
株式会社リビルド 社会貢献部長
一般財団法人 共益投資基金JAPAN 理事

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科卒業。1972年静岡県(西伊豆)生まれ。

鉄道会社、地域金融機関、不動産仲介会社、外資系金融経済情報会社、中間支援NPO、マンションディベロッパー、クラウドファンディング運営会社など、様々な業種での勤務経験を持つ営業コンサルタント/ファンドレイジングアドバイザー。主に中小企業やNPO/NGOの経営や営業の支援を行うコンサルタントとして活動する傍ら、海外不動産の販売やファイナンシャルプランナーとして事業承継や資産活用の助言も行う。

<保有資格>
経営管理修士(MBA)、認定ファンドレイザー、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、一種証券外務員、等々。

著者紹介

連載富裕層のための「社会貢献としての寄付」実践編

 

 

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