4つの自動外貨両替機を所有する、老舗企業の社長
前回は、投資対象としての「自動外貨両替機」の可能性を考察しました。今回は、実際に投資を行って利益を得ているオーナーの事例を通し、今後の自動外貨両替機投資の見通しを検証したいと思います。
1969年、埼玉県川口市生まれ。不動産会社を起業後、2004年、父親の事業を承継し、精錬企業の代表取締役に就任。数億円あった負債を返済しながら事業を数年の内に再生し、軌道に乗せる。余力は投資へと、2017年にSMARTEXCHANGEに加盟。現在、4店舗のオーナーとなる。(追加2店舗選定中)
創業50年の歴史を持つアルミニウム精錬業の老舗企業社長は、現在、渋谷と浅草を含む4店舗を所有しています。渋谷の代表的店舗は、ハチ公前広場の緑色のバス内にある、外国人向け観光案内所に設置された物件です。浅草店舗は、外国人観光客に認知されやすい、人通りの多い観音通りにあります。
これらの物件のオーナー企業は、2017年11月にスマートエクスチェンジに加盟し、翌月に2店舗を同時開業しました。さらに翌年の2月に追加購入し、現在は4物件のオーナーとなりました。2018年9月末現在、全国360ヵ所以上展開している外貨両替機「スマートエクスチェンジ」ですが、その中でも、こちらの渋谷と浅草はかなりの好立地だといえます。
外貨両替ビジネスにおける「3つのメリット」とは?
上記の4つの物件を所有することになった社長は、スマートエクスチェンジの外貨両替ビジネスに、3つのメリットを見出したといいます。それは、①インバウンド事業が秘める可能性、②手離れの良さ、③リスクの低さ、です。
★インバウンド事業の可能性
本業であるアルミニウム生成・販売の7〜8割が依存する自動車産業をはじめ、国内の大手製造業者の多くが拠点を海外に移すなど、製造業のグローバル化が進む中、社長も海外に目を向けるようになりました。朝昼晩と原料の相場変動をチェックする中で、今後も外貨の値上がりが続くと見込み、インバウンドを取り込める商売である外貨両替に大きな将来性を感じたといいます。
また、海外の顧客を受け入れる中で、観光客向けのインフラが十分に整っていないと感じることが多く、知人ともしばしばその話題が出ていたところ、偶然「スマートエクスチェンジ」を紹介されて関心を持ち、加盟を決断したとのことでした。
★手離れの良さ
二つ目の理由は、「手離れのよさ」です。本業に集中しながら収益源を増やそうと考えていたため、「両替機を設置するだけ」というシンプルなビジネスに魅力を感じたそうです。かつては飲食業や保育所の運営なども検討しましたが、人材教育に掛かりっきりになるため、断念した経緯もありました。あくまでも「本業ありき」で考えていたので、両替機が稼いでくれるという仕組みは手間もかからず、状況に最も見合っていたのです。
両替機の設置後は、預り金の集金、残高確認、円転換、問い合わせ窓口、レート監視や設定など、両替機運営にかかわるすべての業務を会社が代行するため、オーナーはオペレーション周りの負担を負う必要はありません。
★リスクの低さ
最終的に決め手となったのは、設置機器の盗難と故障に対する保証が付いている点、機械の移動が自由である点でした。
保証が付いているため、盗難のリスク等を恐れることなく、通行量の多い目立つ場所にも積極的に機械を設置できますし、万が一収益があがらない場合は、場所を変えることでリスタートが可能です。そこが飲食店やコインランドリーとは大きく異なるポイントです。
今回取上げたケースでは、開業時にかかった初期費用は、機械本体価格の540万円と、デポジット金500万円の合計1040万円(税別)です。
出店場所の候補は、筆者の会社の本部が、出店予定地の写真、外国人の通行人数、売上予測といった詳細なデータを示し、提案しています。今回のケースの社長は、かつての不動産業で培った経験を活かし、見事予想を的中させました。特に浅草では、初月から本部の予測を超える両替額を記録し、現在も成長を続けています。今後も多店舗展開を見据えて2台購入予定、現在進行形で物件選定中です。
社長は、精錬業だけはなく、インバウンド対策にも資金を投じている点をPRすることで、企業のイメージアップにつなげられると考えています。また、海外からの取引先の人々に自社の機器の場所を伝え、利用を促しているそうです。
近年の外国人旅行者数増加とともに注目が高まるインバウンド事業ですが、それに伴い、外貨両替に対する需要も年々高まっていくと考えられます。外国語対応可能・簡単な操作で利用者の利便性が高い自動外貨両替機は、今後高いニーズが期待されます。