中国株式市場の推移
上海総合指数とMSCIチャイナ指数
10月の中国株は大幅下落
月末は買い戻しが優勢
■10月の中国株式市場は、米長期金利の上昇を契機に世界的に株価が下落するなか、投資家のリスク回避姿勢が強まり、下値を切り下げる展開となりました。米中貿易摩擦に対する警戒感や中国景気の先行き懸念に加えて、人民元安に伴う資本流出懸念の高まりで、月初の連休明けから軟調な展開となり、上海総合指数は18日に14年11月以来の安値をつけました。ただ、19日には政府高官らが株価対策に言及したことで市場心理が改善して反発し、月下旬は株価対策などから買い戻しの動きがやや優勢になりました。
政府高官らが口先介入
■政府高官らは19日に、株式市場の安定を重視する姿勢を強調するなど相次いで口先介入を行いました。劉鶴副首相は、政府として株式市場の健全で安定した発展を極めて重視しており、改革措置を検討していると述べました。中国人民銀行の易綱総裁も同日、現在の株価は歴史的に見ても低水準にあり、改善している経済のファンダメンタルズを反映していないとの認識を示しました。その後、中国当局は資金調達を支援する景気対策や、保険や投資ファンドの資金拡大による株式市場の支援策を打ち出しました。
米中首脳会談や4中全会に注目
■株式市場は米中貿易摩擦の深刻化、長期化を織り込んで大きく下落してきましたが、今後は、今月末のアルゼンチンでの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて予定されている米中首脳会談や、中長期の経済政策を議論する共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)などが注目されます。
■中国政府は、減速傾向にある景気テコ入れのため、金融と財政両面から景気刺激策を拡充しており、景気の失速や相場の底割れは回避されるとみられます。
(2018年11月07日)
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