M&Aを成功させるには、その道の専門家による協力が欠かせません。そして専門のアドバイザーとともに、会社の現状をきちんと把握し、交渉までに準備を入念に行います。いざ交渉に入れば、あとは誠実な対応が成否の鍵を握ることとなります。今回はM&A成功のための3つのポイントを簡単にまとめます。

希望条件に優先順位をつける

M&Aの売り手にとって、自らの希望を100%通すことは現実的とはいえません。買い手の希望も聞きながら、双方で譲れないところ、譲ってもよいところなどを話し合い、売買金額や従業員の処遇などについて落としどころを探っていきます。


売り手としては、少しでも満足に近い条件を得るためには、あらかじめ交渉に向けた入念な準備をしておかなければなりません。

 

 

以下の3点がM&Aを成功させるための重要なポイントです。

 ①M&Aの専門家に相談する
 ②M&Aを前提とした企業価値を把握する
 ③ベストな相手を探す 

①②では、M&Aコンサルティング会社のアドバイザーの意見も参考にしながら、現在の企業価値を余すところなく把握し、買い手にアピールできる点を見つけることになります。特に独自の技術やノウハウ、取得している特許などは漏れなくまとめておきます。

一方、買い手から見てマイナスと取られかねないような条件、例えば未処理の不良在庫や貸し倒れがあれば、会計上の処理をあらかじめ行っておくなどの対応を検討すべきです。


また、買い手が100%の株式譲渡を求めているケースで自社株がオーナー社長以外の親族や社員に分散しているときは、オーナー社長の下にあらかじめ株を集約しておく必要もあります。そうすることで、反対株主の発生を防ぎ、交渉をスムーズに進めることができます。

 

③はアドバイザーと協力をしながら、買い手の企業の意見とも真摯に向き合うことが重要です。自分の希望する条件に優先順位をつけ、主張するところは主張しながら、相手の希望や条件にも聞く耳を持つといった態度がもとめられます。

何より誠実さが大切な要素

①~③は、いずれも策を弄したり駆け引きが過ぎたりしては逆効果になります。無理に背伸びをするのではなく、今の企業状態を最大限に誠実に説明するのがよいのです。

M&Aは、男女の結婚と似ていると言われます。結婚と同様、本当に結婚したいと思った相手には、誠実に向き合って話し合うことが、何よりの成功の秘訣といえるでしょう。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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