M&Aは売り手のオーナー社長にとっては通常、一度きりしか経験しないことです。そのため、どのようなプロセスをM&Aでは辿ることになるのか、一般的にはよく知られていません。今回はM&Aの基本プロセスをお伝えします。

M&Aの具体的な流れ

実際にM&Aが行われる場合、どのような流れになるのか、まずここでは代表的なケースを紹介しておきましょう。M&Aは下に示したように大きく8つのフェーズに分けることができます。

まずM&Aを検討する際には、M&Aコンサルティング会社に相談するのが通常です。

 

①M&Aの検討開始
  親族間に後継者がいない場合、

  事業承継の選択肢の一つとしてM&Aを検討する。
     ↓
②M&Aコンサルティング会社選びと相談
  M&Aコンサルティング会社の利用が一般的。

  売却先の選定や企業評価、交渉等を任せる。
     ↓
③企業評価
   自分の会社がどのくらいの価値があるのか企業評価をする。
     ↓
④売却先候補を選定
  いくつかの売却先候補を挙げて、選定する。
     ↓
⑤条件交渉
  買い手との交渉。売却額や従業員の雇用や

  オーナー自身の身の振り方などを決める。
     ↓
⑥基本合意
  売買金額を含めた条件面がある程度固まったら、

  基本合意を締結する。
     ↓
⑦買収監査(デューデリジェンスの実施)
  売り手の財務諸表に誤りがないか、リスクがないかなどをチェック。
     ↓
⑧最終契約
  買収監査で問題がなければ、最終契約。

  売買代金の支払い、株券の受け渡しなどを行う。

外部の客観的な目で価値評価をする

第三者からの視点やアドバイスを基に、会社の価値を把握し、売却にあたっての実務的な手続きや売却先の候補などについて詳細なアドバイスをしてもらうことになります。

そして強みや問題点を含めて、会社の客観的な価値が見えてきたところで、オーナー社長が希望する売却額、売却の時期などを次第に詰めていきます。

M&Aコンサルティング会社の下には、M&Aに関する様々な最新情報がストックされています。それらも活用して適切な相手(買い手)を選定し、打診を進めていきます。

その際、売り手は売買金額と時期など基本的な希望条件を打診先に伝えます。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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