本連載では、相続対策のスペシャリストとして知られる内藤克税理士に、知っておくと得をする「相続&税金」の話をタイムリーな話題と共に、ご解説いただく。第1回目のテーマは、「お盆だから切り出せる相続の話」。

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お盆は、じっくりと今後(相続)の話をする良い機会

そろそろお盆。地方によって形は異なりますが、お墓参りをしたり、親戚一同集まったり、帰省をして元気な親の顔を見るのが楽しみな季節です。また、この時期に合わせて同窓会の開催や、親戚一同が集まって昔話に花が咲くというケースも多いのでしょう。

 

「○○おじさんの相続でもめているんだって?」とか「相続のあった隣の△△さんの土地、なかなか売れないらしいよ」などという話を聞くのも、故郷ならではのよくある話です。

 

久々に実家のご両親と会うと、年々歳を取っていく姿に感じるところがあるものです。お互いの近況報告や、ご先祖様の思い出話のあとは、じっくりと今後(相続)の話をする良い機会ではないでしょうか。今回は子どもの立場からどうやって相続の話を切り出したら角が立たないかを考えてみました。

「僕はどのお墓に入るのだろう……」

現行の民法では「法定相続主義」が採られているため、親の財産は子どもたちで均等に分けることになっています(諸子均分相続)。

 

しかし親の世代(70歳以上)は「長男が家を継いで親の面倒を見る、次男は分家して自分で生計を立てる」という家督相続で育った時代です。「分家のおじさん」などと言われても、老舗のお蕎麦屋さんから“のれん分け”してもらった店舗みたいでピンときませんが、そのおじさんはきっと次男だったのでしょう。

 

また家を継ぐというのは、この場合、事業ということでなく、財産やお墓を守る(管理する)ことですが、これは、長男は親と同じお墓に入り、次男はそれができないということを意味しています。もちろんそれぞれの家庭の事情によっては、この限りではありません。一緒に生活していたペットも同じ墓に入っている家もあるくらいですから。

 

「おひとり様相続」が増えている現在、「全員が本家」、つまり親と同じお墓に入ることになると思いますが、お墓参りの後にでも「自分はこのお墓に入るのか?」、それとも「自分でお墓を持たなければならないのか?」を考えてみる必要があります。そして、考えてみる必要があるのは、親からの相続に関しても同じことと言えます。

「俺に早く死ねって言うのか?」は寂しさの現れ…

相続の話になると「生前贈与」「遺言」は避けて通れません。しかし、「そうだなあ、そろそろ相続を考えるか」と重い腰を上げてもらっても、具体的に自分財産を誰名義にするかという話になると、「またにしよう」となりがちです。

 

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これは財産が多い少ないの問題ではなく、どうバランスを取るかに悩んでいるからです。変なタイミングで「モメることになるから書面(遺言)にしてよ」と催促すると拒否されてしまいます(この点は、夏休みの宿題を早く終わらせなければならない小学生が、お母さんに催促されて逆ギレするのと似ています)。

 

このような場合、「財産リスト」だけでも聞き出しておくと良いでしょう。分割協議をスムースに進めるためにも、どこにどんな財産があるのか、把握しておかねばならないからです。これは親の緊急時にお金を工面するためにも、とても重要なことなのです。

「オタク様はどちら様でしたっけ?」となる前に

お盆とお正月くらいしか親の顔を見ないと「ずいぶん歳をとったなあ」と感じることも多いと思います。当然物忘れも多くなるのですが、心配なのは認知症です。厚生労働省の発表によると、現在「65歳以上の7人に1人が認知症である」とされています。これは受診している人のデータですが、すでに症状が出ているのに受診していない人を含めると、もっと割合は多いと思われます。

 

認知症と判断されると、銀行からは「預金の引き出しできません」、司法書士さんから「不動産の売買登記はできません」と断られることになります。当然「孫への贈与」もできなくなってしまいます。

 

地方の信用金庫などで高齢者のお金の管理をお嫁さんが行っているケースなどをよく見かけますが、認知症と判断された場合、大変なことになります。「お嫁さんに依頼していたのか? お嫁さんの判断で行っていたのか?」「判断能力があったのか?」などで裁判沙汰になることもありえます。

 

このような状況になる前にできる対策は「遺言」「成年後見人」「信託」「生前贈与」などいくつかありますが、症状が出てからだと、これらの対策を自分の意思ではできなくなるのです(後見人については裁判所が選任するため、知り合いの弁護士さんにお願いするということもできません)。

 

帰省時に親にそのような症状が見受けられたら、受診を勧めると同時に、早めに相続の専門家(弁護士、司法書士、税理士、信託銀行など)に相談したほうが良いでしょう。

 

 

内藤 克

税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士

著書に『残念な相続』(日本経済新聞社)など

 

 

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本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2018年8月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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