事業承継対策では相続より贈与が基本だが・・・
賦課される税金として、株式財産を引き渡す時期によって「贈与税」か「相続税」がかかります。譲渡の場合は「譲渡所得税」がオーナー側にかかりますが、ここでは主に贈与税と相続税を取り上げます。
なお、生前に自社株式を贈与した場合には、贈与税について「暦年贈与」と「相続時精算課税」、そして「贈与税の納税猶予」という3つの方法からいずれか一つを選択することになります。
事業承継のポリシーは、後継者選びから、後継者の教育、そして承継とオーナー自らの意志を強く反映させること。オーナーの目の黒いうちに自社株式を100%、後継者に譲り渡すことが前提となります。すなわち、「相続」ではなく「贈与」が基本といえます。しかしながら、実は贈与は相続税以上に税金がかかります。
単なる贈与なら負担の大きさは歴然
事例を見てみましょう。
例えば、配偶者と子ども2人が、遺産10億円を相続。そのうち、長男である後継者が自社株式5億円を相続したケースでは、相続税の合計は3億3300万円(配偶者控除適用前)。遺産の2分の1に当たる5億円分の自社株式を相続した後継者は1億6650万円が相続税額となります。
一方、贈与というかたちで5億円分の自社株式を一気に後継者に渡したらどうでしょうか。
贈与税には110万円(/年)の基礎控除がありますが、1000万円を超えると税率は50%(控除額225万円)で、2億4720万円もの贈与税がかかることになります。相続税との差額は、8070万円。いくら、「目の黒いうちに」とは思っても、これではなかなか承継に踏み切れないもの。
しかし、株価引き下げとともに、贈与の仕方にもいくつかポイントがあります。その方法について、次回から見ていくことにしましょう。