株価を決める2つの評価方式とは?
スムーズな事業承継に欠かせない株価の引き下げ。具体的な引き下げ策を紹介する前に、まずは株価を決める2つの評価方式、すなわち「類似業種比準価額方式」か「純資産価額方式」によって引き下げ策が異なることを知っておきましょう。
類似業種比準価額方式の場合は、基準にする上場類似業種の株価の上昇や、配当比準要素・利益比準要素・純資産比準要素の上昇が、株価を押し上げる要因になっています。
一方、純資産価額方式の場合は、貸借対照表(B/S)に表れない資産の含み益や内部留保等による簿価純資産価格の増加が、主な押し上げ要因になっています。
このため、事業承継のために株価を引き下げる際は、「利益圧縮」と「資産管理」、そしてこれらをより効果的に実現するための「組織再編」という3つの手法を使って進めていくのがもっとも有効とされています。
「利益圧縮」なら効果も絶大
先にも述べた通り、類似業種比準価額方式でもっとも株価の引き下げ効果が期待できるのが「利益圧縮」です。利益比準割合は3倍して計算されるため純資産や配当など他の要素に比べ、株価の引き下げ効果も大きくなります。
また、利益そのものを計画的に圧縮していく方法には、次のような手法が挙げられます。
・役員退職金の支払い
・法人向け生命保険の活用
・短期の前払費用の損金計上
・決算賞与の支給
・役員報酬の増額
・企業年金への加入
・オペレーティング・リースの活用
類似業種比準価額が高い場合には、まず利益の圧縮から着手するのが理想です。次回は残る2つ「資産管理」と「組織再編」について見ていきましょう。