成田空港から片道2時間に位置し、ロシア極東における物流・経済の中心として今後のさらなる発展が期待される「ウラジオストク」。空前のルーブル安を機に、日本からの投資・進出先としても大きな注目を集めています。本連載では、そんな「ウラジオストクの魅力」について、現地最新事情を踏まえてご紹介します。

成田空港から2時間、日本から一番近い「ヨーロッパ」

ウラジオストク市は、ロシア連邦沿海地方の南部、日本海に突き出たムラヴィヨフ・アムールスキー半島の南端に位置し、金閣湾を中心に広がる坂の多い街で、日本から一番近いヨーロッパと言われます。

 

2012年にAPECが開催されたのを契機に、金閣湾横断橋とルースキー島連絡橋の2つの巨大な斜張橋や新国際空港の建設など多くの投資が行われ、大きな発展を遂げました。また、冬でも凍結しない天然の港とヨーロッパ方面へ通じるシベリア鉄道のターミナル駅があり、北東アジアにおける物流の玄関口として今後も発展していくと考えられます。

 

ロシア国内では、昨年プーチン大統領が年次教書でウラジオストク港に自由港の地位を与えるとの提案を行い、現在、自由港設置に関する法案が採択されています。ロシア極東における物流・経済の中心としてウラジオストクの重要性がさらに増していくことが期待されていることが一つの理由です。

 

時差は、日本より1時間早く、成田空港から片道2時間で着きます。海外でビジネスを始めるにあたって大事なことは、現地とのコミュニケーションです。時差が小さいということは、仕事をしている時間が共通しているため、連絡対応がリアルタイムで可能になるわけです。

 

また、我々が提携している北海道銀行の拠点がウラジオストクにあり、資金決済がスムーズです。北海道銀行は日本の銀行の中でもロシア極東に最も力を入れており、邦銀では数少ないロシアルーブルでの送金ができ、コルレス口座が極東にあるため最も早く着金確認ができます。

夜景も美しいウラジオストク
夜景も美しいウラジオストク

空前の「ルーブル安」を契機に日本からの投資も盛んに

空前のルーブル安は、投資のチャンス到来と言っていいでしょう。従来は中国、韓国企業の投資が目立っていましたが、最近日本企業や日本の投資家が積極的に投資を開始してきています。特に不動産投資が実際に行われ始めており、新築不動産の購入対象物件が日々少なくなってきている現状です。また、医療分野、温室事業や水産加工事業への投資額も近年まれにみる額の投資が日本から行われています。

 

ウクライナやシリアの問題でロシアに対するイメージが悪いと思われますが、実態は発展が著しく、水面下ではルーブル安のタイミングで投資が旺盛になっているのではと考えられます。

 

2014年6月26日時点では、1RUB=3.022円。2014年12月16日は、1RUB=1.4445円を付けた転換点。空前のルーブル安の期間に現物資産に投資することにより、将来ルーブルが回復した際に期待できます。

 

●日本人が投資や進出する場合の留意点日本人が投資や進出する場合は以下の点やリスクに留意する必要があります。

 

①投資対象資産の権利
ロシアでも外国人(日本人)はロシア不動産や動産を登記し所有権が可能です。銀行口座も一日で作れます。投資する場合はこの権利関係をしっかりと確認する必要があります。

 

②銀行を選ぶ
ロシア国内の銀行は10年前1200行ありましたが、倒産や統合により現在は800行までに減少してきました。預金保険があるもののほとんどあてになりませんので、取引銀行を選択する場合は注意が必要です。

 

③現地パートナー
ロシアでビジネスを始めるうえで最も大事なことは、信頼できる現地パートナーを見つけることです。なぜなら、実際に投資資産を現地で管理していくことが必要になるからです。

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