売掛金を未回収の取引先が破産してしまったケース
社長の相談
売掛金の支払期限を過ぎても取引先が支払いをしてこないので、取引先に赴いたところ、なんとすでに取引先の会社はもぬけの殻でした。
入口には弁護士名義で、取引先が破産予定である旨が記された張り紙があり、法律事務所の連絡先が記載されています。
この場合、売掛金はどうなるのでしょうか。
弁護士の回答
すぐに、入口の張り紙にある弁護士事務所に連絡をとり、自身が債権者であることと、債権届を送付してほしい旨を伝えましょう。
債権届出をしないと、破産手続で配当があったとしても、売掛金が1円も返ってこないという事態も起こりえます。
すぐに「債権届」の送付を弁護士事務所へ申し出る
弁護士の見解
債務者が事実上倒産してしまい、弁護士が破産を債務者から受任している場合には、弁護士から受任通知と債権届が送られてきます。
今回のケースでは、すぐに入口の張り紙に記載されていた法律事務所に連絡し、自身が債権者であることと、債権届を送付してほしい旨を伝える必要があります。
原則として手続きが法的整理(破産、会社更生、民事再生)に入った場合には、個別の債権回収はできなくなります。この債権届を絶対に放置せず、期限までに債権の種類、金額、別除権(※1)や相殺予定があればその旨を記載して送り返す必要があります。これを怠ると、配当がされなかったり、売掛金が1円も返ってこないという事態を招いてしまいます。
※1 別除権
破産になった場合は、債務者の財産は破産財団に属することになり、債権者に債権額に応じて平等に配当弁済される。しかし債権者が先取特権、質権、抵当権等を有する場合は、その旨を主張することによって、特にその者に優先的に弁済を認める。これを別除権という。
別除権についてよくある例が、所有権が留保されている物件。たとえば、コピー機を会社が割賦で購入しているという場合、割賦の支払い中は販売業者が所有権を留保しており、所有権は販売業者側にある。このコピー機を使っていた会社が、その割賦残債を支払っているうちに倒産をしてしまった場合、所有権は販売業者に留保されているので、コピー機を引き上げることができる。
今すぐ実行!
●未回収の売掛金がある場合、その債務者が倒産していないかどうか確認する
●もしも倒産していたら、速やかに債権届の送付を弁護士事務所申し出る