経済危機のイメージがいまだ残る「ギリシャ」だが・・・
1年半ほど前は、日本でギリシャ不動産投資の話をすると「そんな怖そうなことを・・・」という反応ばかりでした。しかし、去年の中ごろから、多くの方の考えが変わり、今では南欧の中でも一番注目を集めている国です。
まず、ギリシャといって思い浮かべるものは何でしょうか? 古代文明、観光業などは非常に有名ですが、最近ではやはり経済危機のイメージが強いかもしれません。
[図表1]ギリシャの地図
観光地としては首都アテネ、ミコノス、サントリーニなどエーゲ海の島が特に人気です。
ギリシャの人口は2015年のIMFの調査によると約1,081万人、通貨はユーロ、公用語はギリシャ語です。観光業の影響により、観光客の多い地域では英語の普及率も高くなっています。首都はアテネで、世界最古の都市の一つであり、3000年以上の歴史を誇ります。
民主的な政治が確立したのは、70年代後半に入ってからです。第二次世界大戦後、冷戦の始まりとともに、アメリカ、イギリスが推す政府軍と、ソ連側のギリシャ共産党軍との間で内戦が勃発し、隣接するブルガリア、ユーゴスラビア(当時)、アルバニアが社会主義国となりました。西側のギリシャ、トルコは守りぬいたものの、内戦のダメージは大きく、1967年のクーデターによる軍事独裁政権の成立を招きました。
ギリシャ国民は軍事独裁政権化の圧制に反感を感じていたものの、軍事政権がギリシャ国内の工業化に着手し、経済は発展期にあったため、国民の不満が爆発することはありませんでした。しかし、1973年にインフレ率が30%を超え、翌年にギリシャが支援したキプロスでのクーデターが失敗に終わった結果、軍事政権の中核を占めていた陸軍と秘密警察は孤立し、軍部の独裁体制は崩壊しました。
[図表2]1960年から2009年経済危機までのギリシャの経済成長率
現在の政治体制は、一院制(300議席、任期4年)の共和制、国家元首である大統領の権限は限られており、国会の多数党の党首である首相が実質的な権限を握っています。新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動党(PASOK)による、実質的な二大政党制です。
それから1982年にEUの前身であるECに加盟、2001年ユーロを通貨として使用開始し、シェンゲン協定に加盟。2004年には、新時代の到来を象徴するアテネオリンピックが開催されました。
2017年、不動産価格は「底値」に!?
2008年のリーマンショック後には、欧州ソブリン危機を招いたギリシャ金融危機が起こりました。その後、2016年頃にようやく回復の兆しを見せる暗黒の時代を迎えますが、その原因、対策などについては次回解説します。不動産価格の下落は42%に及び、そのことから伸びしろが大きいと言われ、昨年頃より投資先として人気となっています。
また、2012年には、25万ユーロの不動産に投資することで、家族でギリシャの永住権が取得できる投資移民政策を制定しました。現在に至るまで、中国、ロシアなどから1,000世帯を超える申し込みがありました。
2017年には不動産価格は「底値」をむかえ、投資移民プロジェクト、経済の回復など多くの価格上昇要素を持ったギリシャ不動産市場について、またその引き金の一つとなった投資移民プロジェクトに関して、何回かに分けて連載したいと思います。
下記図表をご覧になってどのように感じるでしょうか? 「チャンス」と感じられる方、ここ数年の経緯から、「まだまだそれほど回復なんてしないのでは?」と思われる方など様々かと思います。
[図表3]ギリシャの不動産価格の変遷
ただ、経済危機から5年、ポルトガルやスペインの経済、不動産市場が「回復を開始した」といわれた2013年頃に投資した方も、これからギリシャに投資される方のようにいろいろと分析、研究されていたことでしょう。
まだIMFからの援助を受けていた両国に投資をした方々の中には、当時50万ユーロの不動産を購入し、2016年には80万ユーロにまで値上がりをしたという方もいらっしゃいます。
また、ギリシャは「財政面で困難の多い国」というイメージができつつあります。しかし、経済危機前、財政など明るみに出ていなかった問題を抱えていたとはいえ、周辺のバルカン諸国から出稼ぎ労働者が集まる、「高給の得られる」豊かな国で、物価も不動産価格、賃料ともに安いわけではありませんでした。
さらにEU加盟国の永住権、国籍取得を主目的とした中国、ロシアの投資家が回復を牽引! 暖かい場所にあこがれる北ヨーロッパの投資家も戻り始めています。
この魅力を、どうお考えでしょうか?