いざ基本合意契約に至ると、交渉段階とは事情が一変し、秘密保持に関する条項等も含め、法的拘束力が発生すると考えられています。ここでは、基本合意契約に至ったあとの注意点について説明します。

いよいよ「婚約」段階へ

トップ面談も終わり、売り手と買い手双方が歩み寄った結果、売買金額や時期、各種条件についておおよその合意に至ります。 
 
M&Aのプロセスも、ここからは、交渉から契約へと移るわけです。 
 
まず双方が最初に交わす契約は「基本合意」です。最終契約が結婚・入籍なら、基本合意はいわば婚約ともいえます。 
 その後、デューデリジェンス(買収監査)を経て、最終契約へと進み、M&Aは終了します。 
 
通常の場合、デューデリジェンスから最終契約までは概ね1~2カ月程度です。

基本合意以降、新たな買い手とは折衝できない

基本合意契約は、口約束ではなく正式な契約であり、一般には、秘密保持に関する条項等も含めて法的拘束力があると考えられます。 
 そのため、基本合意契約を交わすことで交渉段階と事情は一変します。 
 
売り手から見た場合、基本合意の締結後は、他の買い手と売買交渉をすることができません。 
売買の双方が「独占的に」相手と交渉するという約束になるわけです。 
 
先に、中小企業のM&Aでは売り手と買い手の比率で、買い手が8割と述べました。交渉を重ねてきた買い手は、この基本合意契約の段階ではじめて、売り手との独占交渉権を持つことができます。 
 
そのため、基本合意契約以降、買い手の立場が強くなるケースもあります。しかし、優秀なアドバイザーであれば、買い手が無茶な要望を出していないかをしっかりと見極め、売り手を守る役割も果たしてくれるはずです。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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