アドバイザーには、会社の魅力や価値を客観評価してもらわなければいけませんが、そのためには会社について深く知ってもらう必要があります。ここでは、どのようにしてアドバイザーに魅力を伝えるかについてご説明します。

アドバイザーとの間に信頼関係を築く

アドバイザーを起用してM&Aを進める場合、買い手との交渉は、終始アドバイザーが行います。

オーナー社長はベンチやスタンドで見守る監督で、アドバイザーが監督の意を受けてフィールドでプレーする選手と思えばよいでしょう。

 

 

監督と選手の間には信頼関係と意思の疎通がなければなりません。

監督が選手任せで選手が勝手に動いてしまったり、逆に監督の縛りがきつすぎたりして、選手の自由裁量がなくてもうまく回りません。

選手を信頼して任すところは任せながら、大きな方針は共有して時おり確認したり提案したりすることも必要になってくるというわけです。

会社の魅力や価値を客観評価してもらう

そのため、自らと自らの会社をアドバイザーに深く知ってもらう必要があります。数度会って話すうちなど、できるだけ短期間のうちに胸襟を開いて両者の距離を縮めておく必要があるでしょう。

 

大げさかもしれませんが、寝食を共にするくらいの感覚で、「監督(オーナー)の希望はこれで、この点だけは譲れないのだな」と選手(アドバイザー)に把握してもらうことが肝要です。

 

優れたアドバイザーは、希望と現実のギャップをニュートラルな立場や観点から埋めて、売り手と買い手の双方が納得できるような落としどころをつくってくれます。

売り手のオーナー社長には、「自分たちの会社は果たして外からどのように見られているか?」については見えにくい面もあります。

同業の会社ならまだしも、異業種や事業エリアの異なる会社から見て、自社の魅力は何かを冷静に分析するのは難しいことです。

 

それらの点は、逆にアドバイザーの得意分野です。オーナー社長とアドバイザーがそれぞれ強みを持ち寄ってシナジーを発揮していけばよいのです。

 

アドバイザーを決める際、先に何社かの担当者と会うことをお勧めしました。

それは自分のチーム(会社)に合った選手(アドバイザー)を見つけ出してくるスカウティングのような仕事です。

複数の会社の複数のアドバイザーと会って話してみることで、相場観を養いながら、チームにもっとも貢献してくれそうなアドバイザーを探し出します。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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