▼帝都・王宮
ショタ王「やはり国を1つにまとめるのは、たやすいことではないな……」
財務大臣「と、おっしゃいますと?」
ショタ王「内務大臣から聞いたのだ。臣民のなかには戦争に反対する者もいるそうだな。戦費の負担が重いことに不満を抱いているそうだ」
財務大臣「陛下のご心痛、察するに余りあります。……しかし、私にいい考えがございます。陛下はこれをご存じでしょうか?」
ぱさっ
ショタ王「これは……本、のようだな。小さく装丁も簡素だが」
財務大臣「さようでございます。活版印刷機という発明品を使えば、このような本を安価で大量に作れるのだとか」
ショタ王「それが?」
財務大臣「つまり、活版印刷機を使えば、魔国の恐ろしさや邪悪さを喧伝する本やチラシを、安く大量にバラまけるのでございます。それを読めば、戦争に反対する愚昧な者たちも、必ずや考えを変えるかと」
ショタ王「文字を読める者は限られていると聞くが?」
財務大臣「ご心配にはおよびません。文字を読めるのは、それなりの地位とカネを持つ者たちです。彼らが戦争に賛同するなら、その下で働く文字の読めぬ者たちも同じ意見に染まるでしょう」
ショタ王「そうか! ならば、戦意高揚のチラシを今すぐ作らせろ」
財務大臣「仰せのままに! チラシさえあれば、戦費の調達も、兵士の募集も難なく進むでしょう。新大陸への遠征は、必ずや成功するかと」
ショタ王「ふむ、じつに頼もしいぞ!」
財務大臣「副都を失って以来、私たちは艱難辛苦のときを送ってきました。しかし、それももう終わりです。今こそ攻勢に転じ、魔国に攻め入り、魔族たちに一矢報いるときが来たのです──」