営業外収入は「投資支出の儲け」ととらえる
営業利益と経常利益のあいだにある項目は営業外収支です(資金繰り表の詳細は、本書籍『使える! 資金繰り表の作り方』の102ページを参照ください)。営業外収支は財務収支、投資収支と合わせてみていくほうががよいでしょう。
営業外支出で重視な項目は支払利息になるでしょう。財務収入の借入額が増えれば、支払利息が増えることに連動するのは言うまでもありません。この項目では会計の計上と実支払(出金)額がタイミングによって異なることはありません。資金繰り表を1枚のシートで直観的に分かる資料にしておけば、支払利息の増加を考慮して借入の判断をする際にも役に立つでしょう。
営業外収入は、投資支出の儲け(リターン)ととらえることが重要です。銀行や信金信組を使っていると営業外収入の項目に預け利息や配当が出てきますが、経営判断の材料にはほとんどならないでしょう。会社に内部留保できているお金は、そのまま寝かしておくのでは経営効率が悪いと考えます。事業に再投資すべく本業(営業利益)までの各支出項目へ資金を使っていくことを勧めたいと思います。
本業の運営のための手元資金は薄くし過ぎない
しかし、仕入れや、外注を増やしても売上増加に結び付きそうもない、社員の給与や賞与を増やしても売上増加に結び付きそうもない社内環境だと経営陣が判断するのであれば、資産への投資に向けるという選択肢が出てきます。設備投資は、長期にわたる売上からの回収を見込んで一般的には低金利の借入を選択する経営者が多いと思います。
では、営業外収入は内部留保の資金をどう活かしたものでできるのでしょうか。「本業以外の収入」がキーワードとなります。
つまり、本業以外の収入とは、家賃収入であったり、投資先からの配当といったものです。その収入を得るために内部留保を活かしていくのは正しい戦略といえます。ただ、ここで注意したいのは、投資と営業外収入のシミュレーションだけで儲かると判断して本業の運営のための手元資金を薄くし過ぎてしまうことです。薄くし過ぎてしまったために事業継続のための借入をし、借入比率を上げてしまう結果にならないようにしなければなりません。資金繰り表で本業を軸とした全体の資金の流れ、特に翌月繰越金額の残高の推移を注視しながら判断していきましょう。
経常利益は“けいつね”と言われて親しまれた言葉で、経営者は重要視します。それは意識している、していないにかかわらず本業+財務・投資戦略の「経営」の結果として出てくる数値だからでしょう。経営者にとっては、その力を数値化したものといえます。会計ルールでの経常利益の数値だけでなく、純キャッシュの積み上げとして、資金繰り表での経常利益の継続の延長線上にある、会社の資金を積み増していることを示す必要もあります。