交渉は相手があってこそ成立するものです。こちら側の希望や優先順位も大切ですが、相手の都合を考えなければ、まとまるものもまとまりません。ここでは、どのような心構えで交渉をつめていくかについてご説明します。

相手の意向も聞き、はじめて交渉が本格化する

準備の最後としては、交渉の「落としどころ」を考えておくことをお勧めします。

 

既に述べてきたように、「売却金額」「売却時期」「自身の処遇」「従業員の処遇」など、希望条件をはっきりとまとめることです。

 

続いて、「従業員の全員残留が第一条件」などといった希望条件の優先順位をつけておきます。

「相手があってこその交渉」と心得る

希望のとりまとめと優先順位の設定は大切ですが、自らの考えを枠にはめすぎるのも問題です。というのも、交渉は相手があって成立するものだからです。

仮に、売買金額などはスムーズにまとまったものの、実行の時期などを巡って、売り手と買い手の意向が異なるようなこともあります。

 

例えば、買い手の決算期によって「このM&Aは今期中に実行したい」と希望するケースもあります。

 

そのため、売買金額も決まり、今年中(12月まで)にはM&Aは終了すると思っていても、実行は翌春になってしまうといったことも現実的に起こり得るというわけです。

その場合は、想定より長く経営を続けなければなりませんし、対外発表の時期なども延期に合わせてずらしていくといった調整が必要になってきます。

 

いずれにせよ、最初に設定した条件を絶対視しすぎると、まとまる話もまとまらなくなってしまうということです。

 

希望条件や優先順位には常に幅を持たせ、臨機応変に相手の希望条件などとすり合わせる姿勢が求められます。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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