通常、秘密保持の契約であっても、必要最低限の人には話してよいことになっています。しかし、気をつけてないと思わぬトラブルが起き、契約がブレイクすることにもなりかねません。ここでは、どこまで情報を伝えるかの基準についてご説明します。

家族にさえも情報は秘匿すべき?

M&Aに関する情報は、原則、家族であっても秘密にします。ただし、秘密保持の契約では、通常、必要最低限の人には話してよいことになって います。そのため、オーナー社長の奥さんが役員や社員の場合には、ケースバイケースで話すという手もあるでしょう。

 

奥さんが専業主婦などの場合、秘密保持の契約を確認のうえ慎重に対応すべきです。

特に、買い手が定まっていない初期の段階で伝えるのはお勧めできません。聞かされた奥さんのほうも事情がわからず戸惑うばかりだからです。

 

社長業の総仕上げであるM&Aで満足な結果を得るためにも、伝える必要のない人にしゃべったり、必要がある人に対しても早すぎるタイミングでしゃべったりすることは慎むべきです。

 

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例えば、奥さんの兄弟を自社の役員に招いている、あるいは奥さんの実家が商売をやっているケースで、奥さんが兄弟や父親(オーナ社長の岳父)に相談することがあります。

その過程で情報が自社内などに広まってしまった・・・。そんなケースも想定しておかなければなりません。

情報が一人歩きを始めてしまう怖さ

ルートはどうであれ、いったん社内にM&Aの情報が漏れてしまうと、好ましくない結果になることが多いものです。一例では、従業員が反対して騒いだり、来社したM&Aのアドバイザーを敵視したりすることもあります。

 

オーナー社長自らが話して聞かせればわかるという範囲ならまだしも、社内の一部の人が動き出して、M&Aの交渉に大きな影響を与えることもあります。

そのような騒ぎになれば、取引先にも内実が知れ、最悪の場合、「あそこは危ない」といった噂を流されることもあります。

情報漏えいで交渉がブレイクすることも

先のような事態になってしまうと、M&Aの買い手は、売り手のことを「情報の管理ができない会社」と見るでしょう。買い手が上場企業などの場合、インサイダー情報への配慮も求められ、情報の漏えいは致命的です。

 

このような事態を招いて、せっかくの良縁を破談させないためにも、社内、外部、伴侶以外の家族にも会社を売ることは伏せておくべきです。

 

もちろん、必要がない限りはメインバンクや顧問税理士などにも伏せておき、従業員にも、例外を除いて最終契約当日まで伏せておく。つまり、話せる相手はM&Aアドバイザーだけという状況にしておくことです。

それもこれも、結果として従業員や取引先を守るための行為なのだと肝に銘じてください。

 

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本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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