▼村のはずれ
馬 ポクポク
黒エルフ「まったく。銀行家さんの浪費癖には呆れるわね」ぶっすー
司祭補「あらあら、まあまあ。志の実現に必要な支出ではありませんか」
黒エルフ「志と言ったってねえ──」
女騎士「2人とも、そろそろ到着だ」
馬 ポクポク
司祭補「この辺りは小さな畑が続いていますわね」
女騎士「牧草地が見当たらないが……」
黒エルフ「きっと、この村では牛馬を飼っていないのよ。人の手で開墾できる畑の広さには限界があるわ」
司祭補「まあ! それなら家畜を飼えばよろしいのに……」
黒エルフ「いいえ。農奴を使うほうが安上がりね」
女騎士「農奴か。私の生まれ育った新大陸には無かった制度だ」
司祭補「領主様の土地を借りて耕す人々ですわね。移住や職業選択の自由を持たない……」
黒エルフ「結婚や私有財産を認められているぶん、ただの奴隷よりはマシね」
司祭補「それでも、年貢の重さに苦しめられていると聞きますわ」
歌声 ~♪ ~♪
女騎士「おや、この歌は?」
司祭補「変わった旋律ですわねぇ」
女騎士「だが、妙に心にしみる歌詞だ」
黒エルフ「そう? 安っぽい文句に聞こえるけど……」
司祭補「向こうの小川のほとりから聞こえてくるようですわ」
女騎士「よし、見に行ってみよう!」
馬 ポクポク