(※写真はイメージです/PIXTA)
興味のない人には騒音、二人には極上のBGM
不動産の価格は、立地や広さ、築年数、建物の状態など、さまざまな条件によって決まります。しかし、住宅を購入する人が感じる価値は、それだけではありません。駅からの距離を重視する人もいれば、静かな住宅街を好む人もいます。通勤時間を短くしたい人もいれば、趣味を楽しめる環境を優先したい人もいるでしょう。
今回の夫婦にとって、甲子園球場の近くに住むことは、単に野球観戦に便利というだけではありません。試合がある日の応援や歓声も、日常生活の楽しみになります。一般的にはマイナスに評価されることがある騒音さえ、この夫婦には魅力になるのです。
もちろん、将来売却することになれば、同じ価値観を持つ買主ばかりとは限りません。資産価値や売却のしやすさも、住宅購入では考えておきたい要素です。ただ、自分たちが長く暮らす住宅なら、そこでどんな生活を送りたいかという視点も欠かせません。
住宅購入に、全員共通の正解はない
以前、別の20代夫婦が、共働きでありながら住宅ローンを夫一人の収入で返済できる金額に抑えた事例をご紹介しました。その夫婦は、将来の出産や育児に備え、家計の余裕を優先しました。
一方、今回の夫婦は、ペアローンを利用してでも、甲子園球場の近くで暮らすことを選びました。どちらの判断が正しいという話ではありません。住宅購入で優先するものは、家族によって違います。
もちろん、希望する住宅に住むためなら、いくら借りてもよいわけではありません。毎月の返済額や生活費、将来の収入変化を考え、無理のない資金計画を立てる必要があります。そのうえで、住宅に何を求めるのか。今回の夫婦にとっては、甲子園球場から聞こえる応援や歓声が、ほかの場所では得られない価値でした。
私が最後に尋ねたのは、住宅ローンを返済していく覚悟と、その暮らしを選ぶ覚悟です。
「覚悟はありますか?」
「はい!」
あのときの二人の返事が、今も印象に残っています。
竹下 昌成
竹下FP事務所 代表
日本FP協会認定CFP・TAC講師