住宅購入では、物件価格や住宅ローンの返済額、将来の資産価値など、さまざまな条件を比較します。しかし、何を優先するかは人によって違います。今回ご紹介するのは、夫婦そろって熱狂的な阪神タイガースファンという20代夫婦。甲子園球場の近くに5,500万円の戸建て住宅を見つけました。ペアローンなら購入できるものの、20代で大きな借入れをすることになります。今回は、住宅購入に求める条件について、現役大家CFPの竹下昌成氏が解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「甲子園球場の近くに住みたい!」熱狂的な阪神ファンの20代夫婦がペアローンで5,500万円の戸建て購入を希望。現役大家CFPが最後に尋ねた〈覚悟〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

甲子園球場の近くに、5,500万円の戸建て住宅を発見

以前、20代のご夫婦から住宅購入について相談を受けました。

 

二人は、そろって熱狂的な阪神タイガースファン。そんな二人が見つけたのが、甲子園球場の近くにある戸建て住宅でした。

 

価格は5,500万円。

 

20代の夫婦にとって、決して小さな金額ではありません。しかし、二人にとっては、これ以上ないほど魅力的な立地でした。甲子園球場の近くということは、試合がある日には応援の音や歓声が聞こえてきます。野球に興味のない人にとっては騒音と感じるかもしれませんが、この夫婦にとっては極上のBGMです。

 

自宅にいながら、大好きな阪神タイガースの試合の雰囲気を感じられる。しかも、甲子園球場の近くで希望に合う戸建て住宅が売りに出る機会は、そう多くありません。二人にとって、簡単に諦められる物件ではなかったのです。

買っていいですか?」すでに気持ちは決まっていた

夫婦は共働きで、二人の収入を合わせてペアローンを組めば、5,500万円の住宅を購入することは可能でした。ただし、ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンを借りる仕組みです。どちらかの収入が減った場合でも、それぞれの返済義務は基本的に残ります。

 

そんな状況で、夫婦は私のところへ相談に来ました。

 

「買っていいですか?」

 

相談を受けた時点で、私は二人の気持ちがすでに決まっていると感じました。それでも、確認すべきことはあります。

 

私が住宅購入の相談で重視しているのは、予算・余裕度・住宅の優先度合いです。

 

まず、5,500万円という購入予算が、夫婦の収入や貯蓄に対して無理のない金額なのか。次に、住宅ローンを返済しながら、日々の生活や将来の支出にどれだけ余裕を残せるのか。そして、甲子園球場の近くに住むことが、夫婦にとってどれほど大切なのか。

 

予算と余裕度は、数字である程度確認できます。しかし、住宅の優先度合いは、本人たちにしか決められません。
私は、最後に一つだけ尋ねました。

 

「覚悟はありますか?」



「はい!」

 

二人の答えは迷いのないものでしたので、「では、がんばってください!」と背中を押しました。