米国の相続税(遺産税)はなぜ控除額が大きい?日本との制度の違いを国際税務の専門家が解説

米国の相続税(遺産税)はなぜ控除額が大きい?日本との制度の違いを国際税務の専門家が解説
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国の遺産税は、最高税率が40%である一方、2026年の控除額は1,500万ドルに達しています。日本の相続税は最高税率55%で、基礎控除額も米国に比べて大幅に小さくなっています。なぜ米国では、これほど大きな控除額が設けられているのでしょうか。日米の制度の違いと、米国の遺産税制の変遷を解説します。

 

日本の相続税は基礎控除額の引き下げで課税対象が拡大

日本の相続税は、最高税率が55%と高いことが話題になります。一方、米国の遺産税の最高税率は40%です。ただし、税率だけでなく、控除額にも大きな違いがあります。

 

日本の相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

 

この控除額は2015年1月1日以降の相続に適用されており、それ以前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。法定相続人が3人の場合、改正前の基礎控除額は8,000万円です。この改正により、相続税の課税対象となる人が大幅に増加しました。

ブッシュ政権の減税で遺産税の控除額が段階的に拡大

米国で遺産税の控除額が引き上げられる契機となったのは、2001年に共和党のブッシュ大統領の下で成立した減税法です。この法律では、遺産税の負担を段階的に軽減し、2010年には1年間に限って課税を停止する措置が盛り込まれました。

 

遺産税の最高税率は、2002年の50%から段階的に引き下げられ、2009年には45%となりました。また、生涯控除額も段階的に引き上げられ、2002年と2003年は100万ドル、2004年と2005年は150万ドル、2006年から2008年は200万ドル、2009年は350万ドルとなりました。2010年には、遺産税と世代跳躍移転税(GST)が一時的に課税されない制度となりました。

 

その後、オバマ大統領の下で遺産税制が見直され、2011年には最高税率35%、基礎控除額500万ドルを基本とする制度が導入されました。さらに、2012年米国納税者救済法により、2013年以降の最高税率は40%となり、基礎控除額は500万ドルを基準にインフレ調整されることになりました。

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