食料品消費税率を1%に引き下げても、2年後に戻せば問題再燃?事業者に必要な「迷惑料」とは【国際税務の専門家が解説】

食料品消費税率を1%に引き下げても、2年後に戻せば問題再燃?事業者に必要な「迷惑料」とは【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

食料品の消費税率が8%から1%に引き下げられれば、消費者の負担軽減が期待される一方、事業者によっては価格設定や販売方法の見直しを迫られる可能性があります。さらに、2年後に税率が8%に戻る際にも、同様の問題が生じかねません。税制改正によって利益を得る事業者がいる一方、負担が増える事業者もいるなか、政府にはどのような対応が求められるのでしょうか。消費減税の決定を受け、『食料品消費税1% 減税×給付付き税額控除の真実』を緊急出版した矢内一好氏が解説します。

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米国のユニタリータックス方式に見る「勝ち組」と「負け組」

以前、米国のカリフォルニア州(以下「カリフォルニア州」といいます)が、州法人税の課税方法としてユニタリータックス方式を提唱したことがあります。この課税方法は、カリフォルニア州の子会社法人が赤字で、日本の親会社が黒字の場合、親子会社を一つのユニットとみなし、所得を合算したうえで、合算所得を所定の方法により配分するというものです。

 

カリフォルニア州の子会社法人としては、単体では赤字であるため納税義務がないはずですが、ユニタリータックス方式が適用されると、所得が合算されることで課税所得が生じ、納税が必要になる場合があります。そのため、日本側はこの方式に反対しました。

 

ところが、カリフォルニア州の子会社法人が黒字で、日本の親会社が赤字というケースでは、ユニタリータックス方式によってカリフォルニア州の子会社法人の課税所得が減少し、税負担が軽減されることもありました。

 

税負担が増加するグループを「負け組」、税負担が減少するグループを「勝ち組」とすると、負け組はユニタリータックス方式に反対する一方、勝ち組は何も言わず、沈黙していました。その結果、反対の圧力が弱まったのです。最終的に、ユニタリータックス方式は海外の関係法人を含めない方式へと修正され、この問題は解消しました。

消費税率の引き下げで事業者の明暗が分かれる

食料品の消費税率を1%に引き下げることについては、物価上昇と税率引き下げの効果が相殺され、減税の効果が薄れるという主張があります。確かに、そのような結果になる可能性は否定できません。しかし、現在8%の税率が1%に引き下げられることも事実です。

 

商品の価格が下がることで実質的な購買力が高まり、利益を得る「勝ち組」が出てくる一方、負担が増える「負け組」も想定されます。

 

例えば、外食産業では、店内飲食に適用される消費税率は10%のままである一方、食料品のテイクアウトには1%の税率が適用されることになります。この税率差によって、店内飲食とテイクアウトの価格設定や販売構成の見直しを迫られ、ビジネスモデルの変更を余儀なくされる事業者も出てくるでしょう。こうした事業者にとっては、対応に伴うコストが増加する可能性があります。

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