1%から8%に戻す際にも支援が必要
政府は、令和8年9月15日に閣議決定された税制改正大綱において、資金繰り支援や、生産性向上に向けた省力化などの取組への支援を行う方針を示しています。税率差の影響を受ける業種などに対して、的確な支援を行うという考え方です。
大綱では、消費税率が8%から1%に引き下げられることによる影響について言及しています。しかし、見落としてはならないのが、2年後には税率が1%から8%に戻るという点です。
単に税率を引き下げ前の水準に戻すだけなので、特別な手当ては不要だと考えているのであれば、問題があります。1%の税率が適用される2年間に、事業者が価格設定や販売方法、事業内容などを変更していた場合、税率を8%に戻す際にも、引き下げ時と同様の問題が生じる可能性があるからです。
例えば、税率の違いを踏まえてテイクアウトの販売を拡大した事業者が、税率の引き上げに伴って価格や販売構成の見直しを迫られることも考えられます。税率の変更は、単に税額が変わるだけでなく、事業者の経営判断にも影響を及ぼすのです。
税率引き下げ時だけでなく、引き上げ時にも支援を
消費税率の引き下げによって負担が増える事業者は、減税によって利益を得る「勝ち組」に対して、「負け組」といえます。政府は、税制改正によって負担が増える事業者に対し、その影響を緩和するための支援を行う必要があります。
本稿では、こうした支援を、あえて「迷惑料」と表現します。税率の変更によって生じる負担は、事業者自身の努力だけでは解消できない場合があるためです。
そして、支援が必要なのは、税率を1%に引き下げるときだけではありません。2年後に8%へ引き上げる際にも、事業者の経営環境や事業内容の変化を踏まえた支援が必要です。
政府には、税率引き下げによる恩恵だけでなく、その過程で生じる負担にも目を向け、引き下げ時と引き上げ時の双方で、事業者への支援策を検討することが求められます。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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