税負担の軽さだけではない、タックスヘイブンの投資先としての魅力
最後に、③の質問についてです。
税負担が軽いにもかかわらず、海外からの投資先として人気に差が生じるのはなぜでしょうか。
例えば、カリブ海に位置する独立国のバハマと、英国の海外領土であるケイマン諸島は、いずれもタックスヘイブンとして知られています。国外の企業や投資家が税負担だけを比較すれば、どちらを選んでも大きな違いはないように思えます。しかし、実際にはケイマン諸島が多くの投資を集め、バハマとの差を広げてきました。
その背景には、投資家の保護や投資を促進する法制度など、税制以外の分野における違いがあると考えられます。
その一例が、証券化に利用される特定目的会社(SPC)です。約30年前、債権の証券化に関連して、日本でもSPCを活用するための制度が整備されました。しかし、実際にはケイマン諸島のSPCを利用する事業者も多くいました。その理由の一つとして、日本の制度は規制が厳しく、利用者にとって使い勝手が悪い一方、ケイマン諸島では比較的柔軟な制度が利用できたことが挙げられます。
このように、タックスヘイブンの人気は、税負担の軽さだけで決まるわけではありません。法制度の使いやすさ、金融市場の充実度、投資家を支える仕組みなど、さまざまな要素が投資先の選択に影響します。
つまり、タックスヘイブンが投資先としてどれほど人気を集めるかは、税制上の優遇措置に加え、法制度や金融環境、投資を支援する体制などを総合的に評価した結果によって決まるのです。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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