30年続いた婚姻生活にピリオドを打った雅美さん(仮名・56歳)。財産分与で1,200万円を手にしたものの、地方都市での一人暮らしは想像以上に厳しく、派遣社員としての収入は日々の生活費や社会保険料の支払いで消えていきます。資産を取り崩していくことへの不安を感じるなか、FPへの相談をきっかけに「お金の使い道」を見直すことになります。将来の不安を抱える50代女性が、どのようにして安心を取り戻したのか。50代以降の資産寿命を延ばすための考え方について、FPの京極佐和野氏が解説します。
【FP解説】50代の「守りの貯蓄」はリスク…資産寿命を延ばす〈支出のリバランス〉の重要性
今回のケースで重要なのは、「支出のリバランス」という考え方です。多くの人は、資産を守るために支出を減らそうとします。しかし、それだけでは不安は消えません。
たとえば、今回のケースでいえば、75万円の支出は一時的には大きな負担です。そのまま生活費として、いずれは減っていくお金です。一方で、それを「働き続けるための準備」に充てることで、今後の収入を維持できる可能性が生まれます。
同じお金でも、「どう使うか」によって、その後の安心感は大きく変わるのです。50代以降の支出見直しは、単なる節約ではありません。「何に使うか」を見直し、未来に向けた配分へと整えていくこと。それが「支出のリバランス」です。
雅美さんが離婚後に受け取った資産1,200万円は、守るだけでは安心にはつながらないでしょう。
大切なのは、「減らさないこと」ではなく、「どう使うか」です。もちろん資産運用という選択肢もありますが、お金の使い方を変えたときに、不安の源から未来を支える手段へと変わっていきます。
京極 佐和野
FPオフィスミラボ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/キャリアコンサルタント
FPオフィスミラボ代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/キャリアコンサルタント
「収入はあるのに将来が不安」「何から見直せばよいか分からない」——そんな50代の悩みに対し、お金と働き方の両面から人生後半の再設計を支援するファイナンシャルプランナー。
保険の現場で多くの人生の転機に向き合う中で、「お金の多寡ではなく、価値観と選択が人生を左右する」という本質にたどり着く。
現在は、家計の見直しや支出のリバランス、働き方の再設計を含めたライフプラン支援を行う。感情(気持ち)と勘定(数字)の両面を整え、“わたし仕様の選択”ができるよう寄り添い、必要なときに相談できる距離感を大切にしたスタイルに定評がある。
J-FLEC認定アドバイザー、JASSOスカラシップ・アドバイザーとしても活動。企業顧問として、従業員のライフプランや家計支援に加え、人生後半を見据えた働き方やキャリアの再設計にも関わるほか、企業・団体での研修・セミナー登壇、個別相談に対応。
ホームページ:https://fp-milabo.com/
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連載【CFP監修】感情と勘定を整えてリスタートする「50代からの人生」