人々の様々な消費動向から、景気の局面を読み解くことができる。本記事は『データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】』から一部を抜粋し、キッズソングのシングルCD売り上げと景気局面について、過去をさかのぼって検証・解説する。

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「キッズソングのシングルCD」売上枚数と親の懐具合に関連性

キッズソングのシングル売上がミリオンセラーを記録すると、景気は拡張局面に当たるという関係がある。レコードやCDを購入する親の懐具合と直結することが影響していると考えられる。

 

オリコンデータのある60年代後半以降で、これまでにミリオンセラーとなったキッズソングは5作品ある[図表1、2]。

 

出所:『データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
[図表1]キッズソングのシングルCD等販売枚数 出所:『データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】』(ゴールドオンライン新書)より抜粋

 

出所:『データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
[図表2]キッズソングの大ヒットと景気局面 出所:『データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】』(ゴールドオンライン新書)より抜粋

 

『黒ネコのタンゴ』(昭和44年/1969年)は高度経済成長期のヒット曲だ。原曲は、1969年3月のイタリアの童謡コンテスト「第11回ゼッキーノ・ドーロ」で第3位に入賞した曲『Volevo un gatto nero(黒ネコがほしかったのに)』で、見尾田みずほが日本語の詞を付けて邦題を『黒ネコのタンゴ』とし、小森昭宏が編曲して、皆川おさむ(当時6歳)のデビュー曲として発売された。

 

なお平成11年(1999年)4月7日、皆川おさむが36歳のとき、『黒ネコのタンゴ』は『だんご3兄弟』のカバーと両A面シングルとしてCDで発売され、オリコンで最高40位を記録。『黒ネコのタンゴ』は1999年4月19日付オリコンシングルチャートで、1970年7月12日付以来1,501週後の再チャートインという記録を達成している。

 

『およげ!たいやきくん』(昭和50年/1975年)は、子ども向けの番組『ひらけ!ポンキッキ』のオリジナルナンバーとして発表・リリースされたキッズソングだ。作詞:高田ひろお、作曲・編曲:佐瀬寿一、子門真人が歌ったバージョンは、日本でレコード売上枚数が最も多いシングルとされている。景気は第1次オイルショックと第2次オイルショックの間の拡張局面に当たる。

 

『おどるポンポコリン』(平成2年/1990年)はテレビアニメ『ちびまる子ちゃん』の初代エンディングテーマ曲で、作詞・さくらももこ、作曲・織田哲郎でB.B.クィーンズが歌った。なお2019年4月からは、ももいろクローバーZの歌う同曲が『ちびまる子ちゃん』のオープニング曲として使用されている。『おどるポンポコリン』のヒット時の景気はバブル最盛期に当たっている。

 

『だんご3兄弟』(平成11年/1999年)は、NHK教育テレビ『おかあさんといっしょ』のオリジナルナンバーとして発表された。作詞:佐藤雅彦、作曲:内野真澄・堀江由朗、編曲:堀江由朗で、速水けんたろうと茂森あゆみが歌い、コーラスは、ひまわりキッズとだんご合唱団が担当している。1999年1月の景気の谷から景気拡張局面に入った3月に発売された曲である。

 

『慎吾ママのおはロック』(平成12年/2000年)は、フジテレビ系バラエティ『サタ☆スマ』で香取慎吾が扮するキャラクター、「慎吾ママ」のデビューシングルCDだ。小西康陽が作詞・作曲を担当し、慎吾ママ名義で発売された。朝の挨拶「おっはー」を随所で使用して人気を得ていた。『慎吾ママのおはロック』のCD発売日も景気拡張局面だったが、それまでの4曲のように景気拡張局面は長くなく、3カ月後には景気の山を迎えた。

 

なお、2025年の冬ドラマ『日本一の最低男』の第5話で、香取慎吾演じる主人公・一平が保育士のボランティアとして子どもたちと向き合うシーンがあった。その際、一平は「おっはー」と挨拶したが、園児たちはノーリアクションで、かつて流行語大賞にも選ばれた「慎吾ママ」の決まり文句が通じず、「おっはーって何?」と返されるシーンが話題になった。

『パプリカ』はミリオンセラーには至らなかったが…

近年、ヒットしたキッズソングは『パプリカ』だろう。小中学生5人組ユニット・Foorinが、2019年12月30日に開催された日本レコード大賞で同曲を歌い、第61回日本レコード大賞を受賞した。受賞時の平均年齢は11.2歳で、史上最年少での快挙となった。

 

『パプリカ』はNHK「2020応援ソングプロジェクト」から生まれた曲で、その作詞・作曲を手掛けたのは、『Lemon』で知られる米津玄師である。

 

2018年8月15日にシングルリリースされたが、2018年中は100位圏外が長く続いた。しかし、2018年末の『第69回NHK紅白歌合戦』の企画コーナーへの出演をきっかけに人気に火がつき、2019年1月に圏外から一気にランクイン。以降は長期にわたってチャートにランクインを続けるロングヒットとなった。

 

『パプリカ』は特に小さな子どもたちに大人気で、全国の幼稚園、保育園、小学校の運動会や学芸会で使われてきた。『パプリカ』を流せば、「子どもが踊りだす」といわれた。

 

Foorinのミュージックビデオは、動画サイトYouTubeにて、2019年8月時点で1億回再生を記録している。ただし、CD売上は2019年11月18日時点で11.7万枚と、100万枚にはとうてい及ばない。『パプリカ』が発売された2018年8月は景気の拡張局面だったが、10月に山を迎え、その後2020年5月の谷まで景気後退局面が続いていた。

 

現在は、昔のようにレコードやCDを買わなくても、音楽配信や動画サイトで曲を聴ける時代である。こうした環境下のヒットであったことで、パッケージCDを子どもに買い与える余裕はなかったのではないかと思われる。

 

 

※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新の市場動向や統計結果等とは異なる場合があります。また、特定の投資判断や金融取引を推奨・勧誘するものではありません。

 

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

 

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※本連載は、ゴールドオンライン新書で刊行された書籍から一部を抜粋・再編集したものです。

ベテランエコノミストが解説 データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】

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宅森 昭吉

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「経済の話は難しい。専門知識がないから」と言われることがある。しかし、経済は「人々の普段の活動」の寄せ集めでできているものだ。人間が行う活動なので、機械的に動くものではなく、純粋な経済的要因以外からも様々な影響…

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