「物価上昇」のおかげで残債は完済
偶数月の15日に受け取る遺族年金を、毎月6日の返済に充てるのも、やりくりに工夫が必要です。加えて「今度は私に何かあったら」と、生命保険や医療保険の加入も検討しなければなりません。
泣いている暇もなく、悩ましい日々が続きます。
転機となったのは物価上昇です。中古ではあるものの、23区内の庭付きの戸建て住宅ということで、1億円で売却することができました。忙しくても建物の細かな修繕や庭の手入れを怠らず、「中古とは思えない」ほどのきれいな物件だったのです。残債を相殺できたのはいうまでもありません。
その後、B子さんは駅近のマンションを借りました。死別したシングルマザーということで、仲介業者や大家が親身になってくれたのです。
「お庭がないのは寂しいですが、天国から夫も見守ってくれています」と穏やかな表情で語りました。
「フラット35」は強制加入ではない
フラット35は団信(機構団信)への加入は任意です。そのため「健康の問題で銀行の住宅ローンを組めない人がフラット35を選ぶ(団信加入はなし)」「機構団信に加入せず、FPに勧められるまま生命保険を契約した」という類の話を聞くことがあります。
仮に機構団信に加入しても、2017年9月までは毎月の住宅ローンの返済とは別途に、毎年1回、特約料(保険料)を払わなければなりませんでした。
そのため、Aさんのように「返済は続くが、団信が切れていた」という方の、遺族からの相談を受けたことがあります。
機構団信の支払い方のポイント
Aさんのように金銭管理が苦手な方のために、機構団信の毎年1回の特約料(保険料)の払い方を変えることはできないのでしょうか。
2通りの選択肢があります。ひとつは特約料を月払いに変更することです。ただし、口座振替はできず、クレジットカードのみであり、特約料に手数料(2025年10月から「(年間特約料÷12ヵ月)×1.05%+10円」)がプラスされます。
もうひとつの選択肢は借換えです。2017年10月以後のフラット35には、新機構団信が組み込まれ、特約料も住宅ローン金利に含まれているため、以前のように毎月の返済とは別途に特約料を払うことはありません。とはいえ、昨今の金利の情勢を踏まえると、この選択は慎重に判断する必要があります。
ちなみに、たとえば2017年4月に35年返済を組んだ場合、完済は2052年になります。残債の減少にあわせて特約料も低減していきますが、この問題は長期にわたって続きます。
なお、2017年10月以後も、健康の理由などで新機構団信に加入できなくても、フラット35の住宅ローンを組むことは可能であり、その場合、金利が0.2%低くなります。
そのため、「あえて、新機構団信に加入しない」という方もいるといえます。団信の代わりに生命保険を用意しておいたほうがいいのはいうまでもありません。
