(※写真はイメージです/PIXTA)
「ついに大台に乗った」44歳課長の期待と誤算
大手精密機器メーカーの営業部門で、長年現場を支えてきた佐藤健一さん(44歳・仮名)は、昇進通知を特別な思いで受け取りました。
「サラリーマンをやる以上、年収1,000万円は一つの到達点だと思っていましたから」と、佐藤さんは当時を振り返ります。
40代半ばでの課長昇進。それに伴い、給与体系は大きく変わりました。昇進前の月収は、基本給41万円に各種手当が7万円。そこに残業代が加わり、総支給額で平均58万円ほどでした。
「課長になれば役職手当がつきます。残業代は出なくなりますが、それを差し引いても大幅なプラスになる計算でした」
昇進後の最初の給与明細、そこには額面で71万2,000円という数字が並んでいました。内訳は基本給47万円、役職手当12万円、その他諸手当が12万円。事前の説明通り、月収ベースで約13万円の増額です。ボーナスを年間4〜5カ月分と想定すれば、年収1,000万円の大台に乗ることは確実でした。しかし、佐藤さんは明細の右側に並ぶ「控除」の項目を見て絶句します。
「手取り額が49万3,000円だったんです。思わず二度見するほどの衝撃でした」
昇進前の手取りは45万1,000円。総支給額は12万8,000円も増えているのに、実際に銀行口座に振り込まれる金額は、わずか4万2,000円しか増えていなかったのです。
「所得税も社会保険料も、すべての項目が数千円から数万円単位で跳ね上がっていました。月13万円も給料が増えて、自由に使えるお金が4万円ちょっと。正直、これまでの努力は何だったのかと、虚しさがこみ上げました」
追い打ちをかけたのは、数年先に課長昇進を果たしていた先輩の一言でした。
「来年はもっときついぞ。住民税は1年遅れでやってくるからな」
年収が増えた喜びも束の間、佐藤さんは「1,000万円プレイヤー」という響きとは裏腹の、重い負担を実感することになりました。