念願の「年収1,000万円」に到達したとき、多くの人が期待するのは生活のゆとりでしょう。しかし、額面上の昇給額と、実際に手元に残る金額の差に驚愕するケースは少なくありません。ある男性のケースを見ていきます。
思わず二度見しました。年収1,000万円到達の44歳課長「昇給後の給与明細」に絶望…「月収約13万円増」でも、手取りは「わずか4万円増」の衝撃 (※写真はイメージです/PIXTA)

「額面増」を打ち消す、累進課税と社会保険料の壁

なぜ、これほどまでに額面と手取りの乖離が起きるのでしょうか。その背景には、日本の税制と社会保険制度における「負担の急増」があります。

 

まず大きな要因となるのが所得税です。国税庁の「所得税の税率」資料によれば、日本の所得税は累進課税を採用しており、課税所得金額に応じて税率が段階的に上がります。

 

●695万円超〜900万円以下:税率23%

●900万円超〜1,800万円以下:税率33%

 

佐藤さんのように年収が1,000万円の大台に近づくと、この「33%」という高い税率の壁が現実味を帯びてきます。
さらに、厚生労働省が定める社会保険料(健康保険・厚生年金)についても、標準報酬月額が上がるにつれて負担額が増加します。

 

加えて、住民税の仕組みも無視できません。総務省の資料によれば、住民税(所得割)は一律で所得の約10%が課税されます。これは前年の所得をベースに計算されるため、昇進した翌年に徴収額が跳ね上がり、手取りをさらに押し下げる要因となります。

 

一方で、かつて「年収1,000万円世帯」を苦しめてきた「所得制限」の壁には、現在大きな変化が起きています。

 

こども家庭庁の発表によれば、2024年10月から児童手当の所得制限が撤廃されました。これにより、以前は給付対象外だった年収1,000万円を超える世帯も、全額受給(第3子以降は月3万円に増額)が可能となっています。さらに、文部科学省が進める「高等学校等就学支援金制度」も、東京都を筆頭に自治体レベルでの所得制限撤廃が加速しました。

 

2026年度からは国としても所得制限を撤廃し、私立高校を含む授業料の実質無償化が全世帯へ拡大される方針です。「手取り額」の伸び悩みというシビアな現実は依然として存在するものの、制度改正によって高年収世帯への支援が手厚くなりつつあることも事実です。額面上の数字に一喜一憂せず、最新の公的制度を賢く活用することが、これからの「年収1,000万円プレイヤー」には求められています。