平穏な日々が、ある日突然、音を立てて崩れていく――。仕事や家事に追われる現役世代にとって、予期せぬトラブルは精神的な動揺だけでなく、家計の基盤そのものを揺るがしかねません。しかし、忙しい日常のなかでは「まさか我が家に」という意識が先行し、具体的な危機管理は後回しにされがちです。ある夜の出来事を境に生活が一変した夫婦のケースをみていきます。
 「大切な話があるんだ…」金曜夜、単身赴任の45歳夫が緊急帰宅。浮気を疑い「修羅場」を覚悟した43歳妻…震える声で告げられた「衝撃の事実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「万が一」は突然に。生活を守るための備え

平穏な日常がある日突然、「病気」によって一変するケースは決して珍しくありません。働き盛りの40代・50代にとって、健康リスクは遠い未来の話ではなく、明日起こりうる現実です。

 

公益財団法人生命保険文化センター『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査(2025年1月発行)』によると、世帯主が病気や事故で働けなくなった場合の「生活資金に対する不安」を感じている世帯は依然として高い水準にあります。

 

同調査では、生命保険の世帯加入率は高い水準を維持していますが、注目すべきは「保障内容の充足感」です。医療技術の進歩により入院日数が短期化する一方で、通院治療や休職による「収入減」へのカバーが十分でないと感じている層も少なくありません。

 

特に、高橋さんのように住宅ローンや子どもの教育費(大学進学など)が重なる世代の場合、公的保障(傷病手当金など)だけでは、これまでの生活水準を維持することが困難になるリスクがあります。「まさか自分が」という意識は、誰もが持っています。しかし、リスクが顕在化してからでは、保険への加入や資金計画の変更は難しくなります。

 

衝撃的ながんの告知から1年。浩二さんは休職して手術を受け、抗がん剤治療を行う壮絶な日々を乗り越えました。現在は、本社で復職を果たしています。また美咲さんは現在、パートを続けながら家計の徹底的な見直しを行っているといいます。

 

「日常が当たり前ではないことを思い知りました。いつ、何があっても大丈夫なように備えておく――そのために、まずは家計に無駄がないか、きちんとしておかないとと思っています」

 

[参考資料]

公益財団法人生命保険文化センター『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査(2025年1月発行)』