「従業員に利益を還元する」タイプの節税法を活用するには?

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「従業員に利益を還元する」タイプの節税法を活用するには?

従業員への利益還元といっても、すべてを福利厚生費として損金計上できるわけではありません。一般的な「社員旅行」でも、一定の条件を満たす必要があります。今回は、節税につながる経費の条件について見ていきます。

会社の資産として残すか?従業員に利益を還元するか?

お金をかける先として大きく分けると、「会社の資産として残るようなお金の使い方」と「従業員の福利厚生を目的としたお金の使い方」という2つに分類できます。 
 
会社の資産として残るようなお金の使い方には、たとえば新しい設備を導入して生産性をアップさせる方法もありますし、あるいは資産形成ができる生命保険に従業員や役員を加入させる、資産が目減りしにくい高級外車の購入や不動産に投資する方法もあります。 
 
つまりは、会社の資産として残るような方法で「経費」を使い、利益を圧縮して節税する方法です。


その一方で、従業員に利益還元する形でのお金の使い方には、従業員に特別賞与を出す、社員旅行で従業員の労を癒す、社宅を充実させるといったスタイルの出費が考えられます。 
 
ただし、こうして使ったお金がすべて福利厚生費として損金計上できるわけではありません。たとえば「社員旅行」ひとつとっても、社員旅行として成立させるためには、大雑把にいってつぎのような条件を満たす必要があります。

 

①4泊5日以内(海外旅行の場合は現地での滞在時間)
②参加者50%以上
③会社の負担額が1人当たり10万円以内であること
④旅行の目的、規模、行程が一般的であること
⑤自己都合による不参加者に現金を支給しないこと

 

こうした条件を満たしていないと、福利厚生費にならず、社員に対する給与の一種とみなされて、場合によっては社員に所得税がかかってしまう場合もあります。役員の場合は、役員賞与として損金にできないことになります。 

「研修費」という名目の経費が上積みできることも

ちなみに、事業に関連した視察旅行や研修旅行を実施すれば、「研修費」といった名目で経費が上積みされて損金として引き落とすことができます。実際は、熱海あたりの温泉旅行だとしても、旅館やホテルなどでセミナーを開催して、講師を招いて講演してもらえば、社員旅行は立派な研修旅行となり研修費として経費になります。 
 
全社員にスマートフォンを無償貸与する方法もいいかもしれません。社員間の連絡ツールとして通信費などで経費として計上できます。社用車をある程度まとめて購入し、従業員の通勤用に提供する方法もあります。 
 
ただ、注意したいのは10万円を超えるような高額商品は「減価償却」しなければならないことです。一度に経費として、その年に落とすことができずに、5年とか20年といった長いスパンで、経費として計上していくことになります。「今期だけ利益が大きくなるから、何とか減らしたい」という場合は、減価償却しなくてもいいお金の使い方が必要になってきます。


その点、社員旅行や研修費以外でも、社員参加の社内ゴルフコンペなども福利厚生費として落とすことができます。こうした費用は減価償却の必要がありませんから、その年の必要経費として全額、落とすことができるわけです。

 

 

本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『スゴい「節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

スゴい「節税」

スゴい「節税」

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

増税、デフレ、円高不況…。中小企業が日本の厳しい経済環境を乗り切るには、いかに売上を伸ばすかということ以上に、今ある利益をいかに残すかに注目することが必要でした。その解決策は節税にアリ。「日々の交際費でコツコツ…

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