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若手の“スタープレーヤー”獲得へ…採用文化の常識に変化
日本企業の採用は長らく「優秀だが組織文化を乱さず、自社のカルチャーに染まってくれる人材」を求める傾向が強くありました。異物は受け入れず、器を壊さない範囲で波を立ててもらう――そんな “制限つきの革新” とそれに沿った採用が一般的だったといえます。
以前のコラムにも書いたように、いま注目されているのは「若手なのに高い市場価値を持つ人材」への積極投資です。先ほどのスポーツに置き替えると「金は出すが、ピークより前に成果を得よう」という発想でしょうか。経験豊富なベテランではなく、伸びしろの大きい若手スター候補に、相応の報酬とポジションを提示して迎え入れるケースが増えており、人材のスカウト依頼も増えています。
こうした若いハイパフォーマーは数が限られています。意外かもしれませんが、希少であるからこそ、探索や接触自体は意外とスムーズに進むのも特徴です。受け入れ側の役割設計や待遇面を整えておけば、大きな波乱なく迎えられる場合も多いのです。
日本企業は長らく「他社で同じ事例があるか」を参考に進めてきました。過去にも研究はされていましたが、実際に彼らを活躍させるのは難しいと判断され、積極採用には至りませんでした。しかし今は状況が変わっています。成長を続ける企業は、こうした希少人材を活用し、良い意味で“破壊的な実績”が獲得できないか、組織の革新に挑む段階へと進み始めています。
企業間格差が広がる中、好循環にある企業は次の成長の柱として、若いスター人材の登用に踏み出しています。これは一過性のトレンドなのか、それとも新たな採用文化として定着するのか。2026年に向けて注目すべき流れが続きそうです。
自社の器を越えるほどの成長ステージにあっても、若手の“スタープレーヤー”にイノベーションを託す――そんな“未来への投資”を掲げる企業が確実に増えています。これらの取り組みがどのような成果を生むのか、今後の動向を注視したいところです。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長