憧れの都心マンションは、予算的に手が届かない。そこで、「家族のため」「広さのため」と自分に言い聞かせ、郊外の戸建てを選ぶ――。それは、多くの家庭にとって現実的で賢明な代替案でしょう。しかし、その決断が数年後、深刻な後悔に変わるケースも。本記事では、Aさんの事例とともにマイホーム購入時の二大リスクについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
港区タワマンのローン審査に落ちました…妥協で東京郊外・始発駅に「広くて庭付き」「子育て向き」の一軒家を購入した年収1,200万円の30代夫婦、3年後に知った「絶望的誤算」【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

FPからの助言:もし、あのときタワマンを買えていたら?

マイホーム購入後の後悔は、多くの家庭で起こり得ます。Aさんはわずかな差でローン審査に落ちてしまい、憧れのタワマン生活を手に入れることはできませんでしたが、もし、ギリギリでローンを組めていたら、本当に満足な生活を送れていたでしょうか。

 

ギリギリローンの危険性

貯蓄のほとんどを頭金にし、変動金利でローンを組んでいた場合、近年の物価上昇や教育費の増加に加え、金利上昇という深刻な問題に直面していた可能性が極めて高いのです。

 

Aさんはタワマンを購入するために金利の低い変動金利型ローンで審査を受けていました。ここが、最大の問題点です。日銀はマイナス金利政策を2024年3月に解除し、2024年7月と2025年1月に政策金利を引き上げました。2025年10月の決定会合では追加利上げは見送られましたが、今後も下記の日程で予定されていますので、変動金利型ローンを利用している人は、金利上昇が家計に与える影響を注視しなくてはなりません。

 

金融政策決定会合の日程

2025年

12月18日(木)・19日(金)

 

2026年

1月22日(木)・23日(金)

3月18日(水)・19日(木)

4月27日(月)・28日(火)

6月15日(月)・16日(火)

7月30日(木)・31日(金)

9月17日(木)・18日(金)

10月29日(木)・30日(金)

12月17日(木)・18日(金)

 

なお、変動金利型ローンで5年ルール(※)が採用されていた場合、すでに過去2回の利上げによって、5年後の返済額のアップは確定しています。

※金利が上昇しても返済額のアップは5年間猶予されるルール

 

この猶予期間のあいだにどれくらい金利が上がっていくかで、猶予期間終了後の返済額は変わってきます。変動金利型ローンの利用者は、猶予期間後の返済額のアップがどのくらいになるかを事前にシミュレーションして、家計への負担を理解しておきましょう。