夫婦の数だけ家計の形は様々ですが、その力関係が一方に偏りすぎた時、関係は崩壊。生活費を切り詰める一方で、パートナーに見えない支出を重ねる行為は、経済的なDVと見なされることも。長年の不満が頂点に達し、反撃されるとき、その決定的な証拠となるものとは?
もう無理、別れてください…〈月収55万円〉49歳夫に搾取され続けた46歳妻。実家への仕送りを鼻で笑われ逆襲。夫を凍りつかせた「一冊のノート」 (※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦の溝を深める「経済的DV」という現実

裁判所『司法統計』によると、妻から離婚を申し立てる動機として、「精神的に虐待する(モラハラ)」は常に上位にあり、「生活費を渡さない(経済的DV)」もそれに続きます。大輔さんのように、生活費を切り詰める一方で、自分の趣味や親族のためには支出を惜しまない、といった行為は「経済的DV」の一形態と見なされる可能性があります。相手の経済的自由を不当に束縛し、精神的に追い詰める行為だからです。

 

問題の根源は、金額の多寡よりも、夫婦間での情報共有と対話の欠如にあります。大輔さんが家計を一方的に管理し、朋美さんを対等なパートナーとして扱わなかったことが、二人の溝を決定的にしました。

 

朋美さんが行ったように、日々の言動やお金の流れを記録しておくことは、残念ながら、万が一の際に自分自身を守るための有効な手段となり得ます。夫婦は運命共同体であると同時に、対等な個人。互いの価値観を尊重し、家計という共同体の運営についてオープンに話し合える関係性を築くことこそが、経済的な問題が夫婦の危機へと発展するのを防ぐ方法です。

 

[参考資料]

裁判所「司法統計」令和4年 司法統計年報(家事編)第19表 婚姻関係事件のうち認容・調停成立・和解成立(「離婚」)の態様別申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所