夫婦の数だけ家計の形は様々ですが、その力関係が一方に偏りすぎた時、関係は崩壊。生活費を切り詰める一方で、パートナーに見えない支出を重ねる行為は、経済的なDVと見なされることも。長年の不満が頂点に達し、反撃されるとき、その決定的な証拠となるものとは?
もう無理、別れてください…〈月収55万円〉49歳夫に搾取され続けた46歳妻。実家への仕送りを鼻で笑われ逆襲。夫を凍りつかせた「一冊のノート」 (※写真はイメージです/PIXTA)

君の親の面倒まで見られないよ…夫の冷たい言葉

「我慢の限界でした」

 

本田朋美さん(仮名・46歳)。都内マンションに夫・大輔さん(仮名・49歳)と高校生の息子と3人で暮らしていました。過去形なのは、3ヵ月前に自宅から電車で1時間ほどの実家に身を寄せているから。

 

大輔さんは都内中堅企業に勤めるサラリーマンで、月収は55万円ほど。一方、朋美さんは自宅近くのスーパーで時給1,300円のパートで家計を支えていました。世帯収入は決して低いわけではありませんが、財布を握っているのは大輔さん。毎月、ギリギリの生活費を渡され、それで食費や日用品、息子の教育費など、すべての生活費を払っていました。毎月、渡されるのは、朋美さんのパート代も見越しての金額で、朋美さんは毎月赤字にならないよう必死だったといいます。

 

「住宅ローンの返済については夫の口座から。ほかは私が管理している口座から引き落とされます。最近はただでさえ苦しいのに、夫からの生活費は増えることはなく……」

 

そんなある日、朋美さんの実家の母親が持病を悪化させ、入院するという連絡が入ります。幸い命に別状はなかったものの、退院後の生活や治療費を考えると、経済的な負担が増えることは明らかでした。

 

「父は数年前に亡くなっており、実家には母が一人で暮らしています。少しでも助けになりたいと思い、夫に『少し金銭的なサポートができないかな』と相談したんです」

 

朋美さんとしては、自身のパート代の範囲内で何とか捻出したいと思ったものの、到底無理と判断。何とかしたいという一心から頼み込みましたが、大輔さんから返ってきたのは、耳を疑うような言葉でした。

 

「はぁ? そんな余裕、うちにあるわけないだろ。君の親の面倒まで見てらんないよ」

 

鼻で笑う夫の姿に、「心は固まった」と朋美さん。数日後、離婚届を突きつけ、家を出ました。行先は朋美さんの実家。

 

「私、知っているんです。夫は定期的にお義父さん、お義母さんには仕送りをしていること。趣味のゴルフ代だって湯水のように使っているみたいだし。私、ずっと記録してきたので、裁判になったら勝てる自信100%です」

 

記録してきたというのは、この数年間、大輔さんから言われた心ない言葉の数々です。

 

「誰のおかげで生活できているんだ」

「お前のパート代なんて、たかが知れてる」

「金ばかりかかるな、お前らは」

 

ノートには、暴言の数々が、日付と共に詳細に記録されていました。さらに朋美さんが大輔さんの書斎から密かにコピーしておいた家計簿と貯金通帳もあり、そこには、大輔さんの両親への仕送りの金額や、夫の趣味に使われた不明瞭な支出が、赤裸々に記されていました。

 

「これらの証拠をチラつかせたら、夫は言葉を失っていました。夫は離婚したくないみたいです。でも家計管理をすべて私ができないのなら、戻る気はありません。もう、こんな生活はこりごりなんで」