(※写真はイメージです/PIXTA)
給食のない夏休みが「怖い」
長く、そして過酷だった夏休みを乗り越えたばかりの田中美咲さん (42歳・仮名)。
「給食のない夏休みが、本当に怖かったですね」
過ぎ去った日々を、今は笑い話として語ります。美咲さんは半年前に夫と離婚し、現在は小学4年生の息子、拓也さん (10歳・仮名) と小学2年生の陽菜さん (8歳・仮名) の3人暮らしです。契約社員として事務職で週5日働いていますが、手取りの月収は15万円ほど。さまざまな事情から、元夫からの慰謝料や養育費は一切受け取っていません。
「普段なら、何とか……本当に何とか、やりくりできます。学校の給食には本当に助けられています。栄養バランスも考えてくれていますし、自分たちで用意するよりもずっと安上がりですから」
しかし、子どもたちが待ち望む夏休みは、美咲さんのようなひとり親家庭にとって、家計を直撃する期間となります。給食がない1ヵ月強、昼食代が丸々家計にのしかかってくるのです。
夏休みのある日の夕方、2人から「ママ、もうお米ないの?」と無邪気に尋ねられ、胸が締め付けられる思いがしたと美咲さんは振り返ります。
「『ごめんね、拓也、陽菜。お米、切らしちゃって。今日は特売で買ってきた焼きそばにするね。お米は明日、お給料が入ったら買ってくるから』。そう言って笑顔を作るのが精いっぱいでした。米びつの底が見え、財布の中には数百円。特売の焼きそばと冷蔵庫の残り物だけが、その日の夕食だったこともあります」
夏休みを乗り切るため、事前に食費の計画も立てていたと話します。
「やはり、お米はまだ高くて……。特売日に買いだめした乾麺やチルド麺がコストパフォーマンスは良いですね。そこに見切り品の野菜をトッピングします。でも、食べ盛りの子どもたちですから、それでお腹がいっぱいになるわけもなく、かといっておやつもありません。『ごめんね』と謝り、麦茶に牛乳と砂糖を入れて即席のコーヒー牛乳を作るのが、我が家の定番です」
友人たちがSNSに投稿する家族旅行やレジャーの様子を見るたび、スマートフォンを伏せていたそうです。「夏休みだから、どこかに連れて行ってあげたかったけれど、無理でした」。罪悪感と申し訳なさで、精神的に追い込まれたと美咲さんは語ります。