シニア向け求人サイトの調査で、平均年収トップは「歯科医師」で675万円と判明しました。華やかな専門職が並ぶ一方、資格や経験が必須で、多くの人には遠い世界のことかもしれません。しかし、資格がなくても挑戦できる仕事や、学び直しで高収入を狙える分野も。データから見える、シニアのリアルな仕事事情と給与額をみていきます。
シニア向け求人・給与ランキング!1位は「歯科医師」で年収675万円だが…資格なしでも狙える現実的な仕事と給与額 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収以外で見える「現実的な選択肢」

シニア向け求人サイト「シニアジョブ」がまとめた平均給与ランキングが公表されました。それによると、シニア向け求人の平均年収がもっとも高かったのは「歯科医師」で675万円。税理士・公認会計士、ITコンサルタントなどの専門職が続き、建設関連の技術職も上位に並びました。

 

ランキングの顔ぶれをみると、医療・士業・建設といった国家資格や専門的スキルを求める領域が中心です。経験値が積み重なるほど価値が増す職業特性を反映している一方、多くのシニアがすぐに参入できる領域ではありません。

 

一方で目を引くのが、IT関連職。ネットワーク設計やシステム開発などが上位に入り、シニア層への求人が増加しています。企業のデジタル化が加速するなか、年齢よりもスキルを重視する傾向が広がりつつあることが背景にあります。 シニア層にとって、IT分野は「第二のキャリア」として学び直しを通じて参入できる数少ない高収入領域といえそうです。リスキリング講座や助成制度が整備されており、年齢を問わず挑戦の余地が残されている点は注目に値します。

 

ランキング外に位置する職種のなかでも、営業やタクシードライバーといった現実的な選択肢も。営業職は定年前に培ったスキルを活かしやすく、最近ではシニアを積極採用する企業が増加傾向にあります。 また、タクシードライバーは人手不足を背景に求人が多く、採用後に二種免許を取得する制度を整える会社も珍しくありません。異業種からの転職障壁が低く、特に都市部では安定収入を得やすい職業として注目されています。 

 

このように、資格が必須でなくても参入しやすい領域がある一方、給与水準や労働環境とのバランスをどう考えるかが個々の判断材料となっています。

 

一方、日給ランキングでは、施設警備が1万1,000円で首位となりました。警備業は求人件数が多く、体力面に自信のある人にとって現実的な選択肢です。もっとも、屋外勤務が中心の交通誘導より、施設内勤務のほうが人気を集め、給与にも差が出ています。 一方、時給ランキングでは、設備・電気設計(2,550円)や薬剤師(2,100円)など専門性の高い職種が上位に並びます。

 

医療・福祉関連の求人は需要が高く、短時間勤務にも対応できるため、ライフスタイルに合わせて働きたいシニアからの支持が厚いと考えられます。 注目すべきは、コンビニやスーパーのスタッフ。時給は1,475円で10位に入りました。小売業は人手不足から時給が上昇傾向にあり、かつ柔軟なシフトが可能なため、シニア女性からの人気が高まっています。