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手順2:「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」の実践
山本五十六氏の言葉です。これを地道に行うことで、大抵の部下は成果が出せるようになります。実際は現状把握と同様、ここまでやっていないケースが多いと感じます。
【やってみせる】
上司や成果を上げている部下のやり方を見せます。ただ「見ててね」だけだと、ぼーっと見てしまう部下もいますので、見せる前に自分のやり方とどこが違うのか、どんなところを自分の仕事に取り入れようと思ったか、気づいたことをメモするように伝え、目的をもって見るように仕かけます。
【言って聞かせる】
見せるだけでなく、手順とポイントを部下にわかるように説明します。リーダーの説明の仕方を聞いていると、早口だったり、部下がわからない英語や専門用語を使っていたりして、伝わっていないことがあるのです。成果が出せない部下は、わからなくても「わからない」とすぐに言わない傾向があります。
「これくらい知っていて当然」という想いが部下の理解を妨げていることがありますので、途中途中で「ここまでで質問はないですか?」と理解度の確認をしながら丁寧に説明しましょう。成果が出せない部下は、ほかの部下より丁寧に説明し、わからないことをつぶすことが必要です。
【させてみせる】
説明したことを理解しただけでは、できるようにはなりません。営業・接客・プレゼンなどは、ロールプレイング(お客さま役と社員役で営業や接客を練習すること)でできるようになるまで練習が必要です。事務や現場作業などの仕事でしたら、となりについて仕事をさせて、教えたことができているかを観察します。させてみると、何がわかっていないか、部下のどこが課題かがよくわかるでしょう。
1回でできるようにはならないと思いますので、部下ができるようになるまで繰り返し行います。チームで大きな営業成績を上げているリーダーはロールプレイングを必ず行っているのです。
【ほめる(ポジティブフィードバック)】
ロールプレイングや仕事の仕方をとなりについて観察するときに重要なのが、リーダーからのフィードバックです。最初は教えたとおりにできませんので、できていないところを先に伝えたくなりますが、できるようになったところ、少しでも進歩したところを見つけて、必ずポジティブフィードバックから行ってください。まったく進歩がなくても「お疲れ様でした! すごく真剣に取り組んでましたね」などと励ましの言葉はかけられるでしょう。
できるようになるまで繰り返しトレーニングするとき、部下にとってトレーニングが「不快」な場になると、できるようになる前にトレーニングへの拒否感が生まれます。教育の原則として「楽しいほど学びが促進される」ことがあります。部下をほめたり、励ましたりすることで、やる気を引き出すことが大事です。
手順3:マニュアルを整える
「言って聞かせる」を効率的に、部下にわかりやすく伝えるためには、手順やパターン化されたトークはマニュアルにしておくことが必要です。現場における教育でよく聞かれるのが「リーダー(指導者)によって言うこと(教えること)が違う」という声です。手順がマニュアルで言語化されていないと、やり方が人によって微妙に違うことが発生します。
要領のよい部下は、リーダーにあわせてやり方を変えたりしていますが、大事なところでやり方が違うとミスやクレームを誘発させるリスクもあります。