「何度教えても同じミスを繰り返す」「手がかかる部下に時間を取られ、自分の仕事が進まない」……そんな悩みを抱える管理職は少なくありません。あなたの目の前の部下は、「やり方が分からないだけの人」か、それともごく少数である「その仕事に本当に向いていない人」かどちらでしょうか。両者へのアプローチはまったく異なります。本記事では、野本果甫氏の著書『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)より、この2つのタイプを見極めるポイントと、それぞれに最適化された育成の具体策を解説していきます。
ぼーっと見てるだけ、何度言ってもできない…「本当に見込みがない部下」と「教え方次第で伸びる部下」の決定的な違い (※画像はイメージです/PIXTA)

2.その仕事に向いていない場合の対処法

少数ではありますが、その仕事に向いていない人はいます。私は電話応対の指導を長年やってきましたが、電話応対はスポーツと同じで、基本的に練習すればどんな人でもできるようになると思っています。実際にトレーニングすることで、できるようにしてきました。しかし、できるようにならないケースがひとつだけあります。

 

それは、録音で自分の応対を聞いてフィードバックを受けても、どこが悪いのか本人がわからない場合です。成長や変化が起きるのは、目標や望む姿と現状のギャップに本人が気づいたときです。フィードバックを受けても、自分の応対に問題があることをわからない人は、ギャップがあることがわからないため、指導しても変わることは難しいと感じます。

 

応対力でパフォーマンスが低いオペレーターだけを集めて特訓したこともありますが、パフォーマンスが低いオペレーターでも指導しても変わらなかったのは10名中1名程度でした。全体で考えると、その仕事に資質がなくて成果が出せない部下は5%未満だと思います。

 

対処法1:どんな仕事に向いているか適性を見て違う役割を与える

現在の仕事は資質的に難しい場合でも、できる仕事は必ずあります。リーダーが部下を観察し「この仕事ならできるかも」と思ったら、違う役割を与えるのもひとつの方法です。

 

コールセンターの場合、電話業務をさせない、という選択は人員の問題もありできませんが、電話業務に伴う事務業務などが発生したときは、優先的にそのオペレーターにやってもらったりしていました。事務センターなどの電話業務がない部署がある場合は、そちらへの異動も検討し、実際に異動になったら覚えるのに時間はかかったようですが、大きな問題はなく事務センターに貢献していました。

 

対処法2:過度な期待をせず、できることを考える

ほかの仕事もない、他部門への異動も難しい、という方もいると思います。そのときはリーダーのレジリエンスを鍛えるチャンスと考えましょう。

 

ミスが許されない場面では、ほかの部下に担当してもらうのもひとつの手です。大事な場面でどうしてもその部下にやってもらわなければならないときは、事前準備に時間をかけたり、サポートをつけたりする方法もあると思います。

 

 

野本 果甫

サクシードビュー代表

 

※本記事は『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。