能力はあるはずなのに、指示待ちから抜け出せない。あるいは「やります」と返事はするのに、一向に行動に移さない。その原因を、本人の「やる気」や「能力不足」のせいだと結論づけていませんか。本記事では、野本果甫氏の著書『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)より、部下の部下の心のブレーキについて解説していきます。
「やります」と言って、やらない部下…「えっそんなことで?」上司が拍子抜けする、部下が動けなかった“意外すぎる”理由 (※画像はイメージです/PIXTA)

部下の心のブレーキが行動を止めている

部下の主体的な行動の妨げになることとして心のブレーキがあります。ブレーキにあたるのは「失敗に対するおそれ」「否定されることへのおそれ」「スキル不足による自信の欠如」などがあります。心のブレーキは自分を守るための脳の働きなので、ブレーキが外れないと行動にはつながりません。部下自身も自分のブレーキに気づいていないことが多いです。

 

部下の心のブレーキを外すには、まず部下と一緒に何がブレーキになっているかを明確にするところからはじめます。部下に次のような質問をするとヒントが出てくると思います。

 

「この仕事を進めるうえで不安に感じていることはありますか?」

 

「取り組むなかで、何がいちばん難しいと感じていますか?」

 

「何か気になる点や、引っかかっていることはありませんか?」

 

「成功させるために、何が足りないと感じていますか?」

 

「これを進めるときに、誰のどんな協力があるとよいと思いますか?」

 

「このプロジェクトを完了させるために、いちばん大きなカベは何だと思いますか?」

 

「これを自分で考えて進めた場合、どんな結果が起こるのがいちばん心配ですか?」

 

部下が自分のネガティブな考え(不安や自信がないなど)を伝えることは、マイナスに評価されるのでは?というリスクもあり、部下にとって話しづらいことでもあります。本音ではなく「とくに不安はありません」「やらないといけないことなのでやります」など、その場を取り繕うような意見が出る場合もあります。本当の気持ちや想いを話してもらうには、話しやすい場づくりがとても大切です。

 

「問題があれば一緒に解消したいと思っている」「不安に感じていることやネガティブな意見を言っても大丈夫」というような言葉かけをして、部下が本当に思っていることを引き出すことがリーダーの力量となります。リーダーにしてみれば言い訳と感じる意見が出てくることもありますが、「そうなんだね」などと一旦受け止めることがとても大事です。