部下が育たない、どのように接していいかわからない……。現在のリーダー層は価値観の異なる若手社員を相手に、自らが受けてきた昭和のマネジメントとは打って変わったマネジメントを行わなければなりません。その難しさに直面し、頭を抱える組織のリーダーは多いでしょう。本記事は、野本果甫氏の著書『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)より、令和の若手社員が育たない理由について解説します。
昭和育ち・中間管理職まで登りつめた“就職氷河期世代”…「なぜ、若手が次々辞めてしまうんだ!」と上司から板挟み。「成果が出せない部下をほめて伸ばせと?」 (※画像はイメージです/PIXTA)

「働き方」に関する若手の価値観の特徴

では、若手の価値観はリーダー層の価値観とどう違うのでしょうか。

 

新入社員を対象に株式会社リクルートマネジメントソリューションズが毎年実施している意識調査があります。若手社員が何を大事にしているかを知ることができますので、ご紹介します。

 

【仕事をするうえで重視すること】

(1)自分が成長できる(32.2%)

(2)人や社会の役に立つ、感謝される(23.1%)

(3)専門性を高める、第一人者になる(19.7%)

 

【企業選択で重視したこと】

(1)働いている人が魅力的、職場の人間関係がよい(39.4%)

(2)自分らしく働ける、強みや持ち味を活かせる(38.3%)

(3)仕事内容が魅力的、やりがいがある(38.2%)

 

【上司に期待すること】

(1)相手の意見や考え方に耳を傾けること(50.3%)

(2)一人ひとりに対して丁寧に指導すること(45.9%)

(3)よいこと、よい仕事をほめること(33.9%)

 

とくに「上司に期待すること」を見ると、40〜50代のリーダー層が経験してきたことと、ほぼ真逆のことを求められていることがわかります。多くの企業で1on1ミーティング(定期的に上司と部下が1対1で行う対話)が導入されていますが、リーダー層は上司から1on1ミーティングを受けたことがないため、どのようなやり方が正解か、実体験が伴わないまま行っているのです。正直なところ、自分が効果を感じられないことをやるのは、モチベーション的にも無理があるでしょう。

 

私が実施する管理職研修では「仕事でほめられた経験」を話してもらうワークをやるのですが、共通した意見は「最近ほめられたことがない」です。どちらかというと厳しく指導されてきたリーダーは、「ほめる」ことで成果が出ることを実感していない方も多いと感じます。つまり、いままで自分が経験してこなかったことを次々と求められているため悩むのです。

 

しかし朗報もあります。新入社員が「仕事をするうえで重視すること」を見ると、成長したい、貢献したい、と思っている人の割合が多いです。私が研修で出会う新入社員の話を聞いても、成長や貢献に対する意欲が高いと感じます。ということは、リーダーの関わり方次第で若手社員の成長や貢献に関する意欲を引き出し、主体的な行動、そして成果につなげることも可能だ、ということです。ただし「いままでのやり方」で部下は育たないのです。

 

 

野本 果甫

サクシードビュー代表

 

※本記事は『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。