「大転職時代」といわれる昨今、その波は、かつて最も安定した職業の代名詞だった公務員、特にエリート中のエリートである「キャリア官僚」にまでおよんでいます。国を動かすという大きな使命と、誰もが羨むブランドを手にした彼らが、なぜその輝かしい地位を捨ててまで転職を選ぶのでしょうか。本記事ではAさんの事例とともに、現代日本の「働き方」について、元国家公務員の川淵ゆかり氏が解説します。
は、吐きそうだ…志高く「国家公務員」になった月収24万円・23歳男性。入省4ヵ月後、霞が関で目の当たりにした「ヤバすぎる光景」にえずき【元国家公務員が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年時代を踏まえたキャリア

筆者も当然キャリアではありませんが、元国家公務員だった経験があります。人が公務員を辞める理由はさまざまですが、筆者の場合はコンピュータの仕事を続けたくて事務官を辞めました。

 

やりたい仕事をみつけることは難しいでしょうが、みつけたやりたい仕事に就くことも難しいものです。Aさんのように飛びぬけて優秀な大学を出ている人と違い、いくら人手不足といえども希望職への転職はそう簡単ではありません。筆者の場合は、仕事をしながら国家試験を受験したり簿記の資格も持っていたりした経験から「人生なんとか食べていけるだろう」と思い、転職を決意しました。いまでもコンピュータは好きで、FPの仕事をしながらIT講師の仕事もしています。

 

続く物価高、年金の目減り、住宅ローンの平均完済年齢が70代といわれる時代に働き続けることは非常に重要になってきています。2025年6月には、総務省が「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」を発表し、こちらは地方公務員についてですが、兼業・副業規制が大幅に緩和されることになりました。人生100年時代、ご自身のキャリア形成について、真剣に考えてみませんか?

 

〈参考〉

人事院「総合職試験採用職員の退職状況について」

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jinji.go.jp/content/000004799.pdf

人事院「2025年度国家公務員採用総合職試験の申込状況等について」

https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2503/sougoumousikomi.html

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表