写真はイメージです/PIXTA
夫宛に届いた一通の督促状と言い訳
夫婦のカタチが多様化するなか、家計の管理方法も変わってきているようです。
株式会社プラスエイトが20~50代の既婚男性を対象に行った『結婚後のお金事情に関する調査』によると、「現在、お金の管理はどのように行っていますか?」と尋ねたところ、年代ごとに上位2つの方法は、20代は「お小遣い制」(35.6%)「財布を分けている」(27.7%)、30代は「お小遣い制」(36.5%)「財布を分けている」(24.6%)、40代は「お小遣い制」(38.3%)「財布を分けている」(28.7%)、50代は「お小遣い制」(49.2%)「生活費を渡している」(19.7%)でした。20代では4割以下の「お小遣い制」は年齢が上がるにつれて増え、50代では約半数という結果になりました。お互いの財布は別々……昨今はそんな夫婦も多いことが、この調査結果からもうかがえます。
家計を別々にできるのは、信頼あってこそ。しかし、その信頼が、時として深刻な事態を招くこともあります。太田美沙子さん(38歳・仮名)も、夫・智さん(仮名・41歳)との信頼関係を大切にするあまり、長らくお金の話を避けてきたといいます。美沙子さんの月収は40万円ほど、智さんは48万円ほどでした。あくまでも自己申告によるもので、それ以上お互いを把握することはなく、再婚同士でお互いにいい大人ということもあり、夫との間で「お互いのお金は自由に」という暗黙のルールがあったのです。
しかし、ある日、智さんに借金疑惑が浮上します。
「始まりは、見慣れない消費者金融の名前が書かれた一通の封筒でした」
ある日、自宅の郵便受けに入っていた夫宛ての圧着ハガキ。普段なら気にも留めませんが、その日は開封せずとも分かる「督促」の文字に血の気が引いたといいます。
「夫を問い詰めると、最初は『ああ、たいしたことないんだ』という反応でした。『友人に勧められて始めた投資で少し損失が出て、その補填で借りただけ。すぐに返せるから心配いらない』と。その言葉を、私は信じようとしました」
智さんは前妻から金銭的に厳しく管理され、お小遣い制で常に息苦しさを感じていたと聞いていました。だからこそ美沙子さんは、結婚後、智さんの給与明細を一度も見たことはありませんでした。それは美沙子さん自身も同様でした。お互いの年収はおおよそ把握し、家賃や光熱費などの固定費は智さんが、食費や日用品は美沙子さんが、といった具合に大まかな役割分担。残ったお金の使い道については一切干渉しない――それが、太田家のルールだったのです。