会社員であれば「年金保険料を支払う」という意識は薄いかもしれませんが、自営業者等は自身で支払う必要があります。令和7年度は月額1万7,510円。現在、納付率は8割を超えていますが、意図的に支払わずにいると、とんでもない事態に直面します。
ただの紙切れじゃなかった…〈年収600万円〉だった36歳男性、日本年金機構から届いた「赤い封筒」に絶望。〈年金月25万円〉70代両親を巻き込む大騒動 写真はイメージです/PIXTA

独立も収入激減で年金保険料が支払えず…

都内のIT企業に勤めていた鈴木健太さん(仮名・36歳)がフリーランスのエンジニアとして独立したのは2年ほど前のこと。ある程度仕事が見込めると確信して会社を辞めたので、独立後も決して多くはないものの、安定した収入を得ていました。

 

「初年度は年収500万~600万円ほど。さらに仕事を増やして、サラリーマン時代を超えようと頑張っていたんですが……」

 

より自由な働き方と、自らのスキルで市場価値を試したいという希望に満ちたスタートでした。しかし、主要な取引先が倒産して、状況は一変します。新たな仕事は思うように獲得できず、収入は一気に半分以下にまで落ち込みました。日々の生活費や家賃を支払うので精いっぱいの生活に転落してしまったのです。

 

「支払いが滞るものも出てきて、その一つが国民年金保険料でした。納付書が届いても『今は無理だ。来月にはきっと……』と先延ばしにするようになり、最初は軽い気持ちだったんです。しかし、一度滞納し始めると次第にどうでもよくなってしまい、一種の思考停止状態に陥っていました」

 

国民年金保険料の納付期限を過ぎ、勧告状のハガキも放置すると、日本年金機構から「特別催告状」が届きます。これは封書で送付され、最初は青色の封筒です。

 

「正直、『ただの紙切れだろ、んなもん』なんて思って、すぐにどっかになくしてしまった。毎日の生活もあるし、仕事をやりつつ、新たな仕事を求めて営業をしなければならないし。面倒な手続きは後回しにしがちになって……」

 

青色の封筒を無視すると次は黄色が、それでも無視を続けると、最終的に赤色の封筒に入った「最終催告状」が送られてきます。青、黄、赤と色で緊急度を示しており、さすがに赤色の封筒が届いたときには、ドキッとしたといいます。