老人ホーム選びにおいて、懸念のひとつが費用。パンフレットなどを見るたびに「たかっ!」と小さな悲鳴をあげてしまうこともしばしば。そんななか、「入居一時金100万円以下、月額費用15万円以下」の低価格プランを持つ老人ホームに関する最新ランキングが発表されました。
月額費用15万円以下「低価格の老人ホーム数ランキング」…〈大阪〉が〈東京〉を圧倒する安さの理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

地域別に見る介護の選択肢 都市と郊外で分かれる傾向

東京都の市区別ランキングでは、板橋区が最多の10件。病院やクリニックが充実しており、医療との連携を重視する施設が多いのが特徴です。次いで江戸川区が8件で、有料老人ホームの費用相場が都の平均より安い点も魅力。足立区や練馬区も上位に入り、23区内にも選択肢がしっかり存在することがわかります。

 

一方、郊外の八王子市もランクイン。この地域では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やグループホームなど、多様な施設が整っており、心身の状態に合わせた選択が可能です。

 

大阪府では、東大阪市が30件と最も多くなりました。大阪市に隣接する利便性の高さがありながら、施設の月額費用は10万円前後に抑えられているところも多く、利用しやすい価格帯です。この背景には、戦後から簡易宿泊所などが存在した土地柄、「安価でも生活できる場所」という文化が今も息づいているのかもしれません。

 

堺市中区や枚方市といったエリアでも、地域福祉の視点から施設整備が進んでいます。たとえば堺市では、緊急通報装置の貸与や紙おむつの給付など、在宅生活を支える手厚い施策があります。地域全体で支えようという体制が、いざという時の安心感につながります。

 

背景には、大阪府全体で住民税非課税世帯の高齢者割合が全国平均を大きく上回る(41.7%)という切実な事情もあります。経済的な負担を抑えた介護サービスへの強いニーズが、施設側の工夫や努力を促しているのが現状です。

 

年に数回しかない帰省のタイミングは、介護について家族で切り出しにくい話をきちんと向き合って話し合うための貴重な機会です。施設の選択肢が「高額で限られたもの」ではなく、選び方次第で、本人にも家族にも負担の少ない道を探せます。

 

いざという時になって慌てないために、また大切な家族にとってより良いかたちを見つけるために。まずは冷静な視点で情報を集めることが重要です。

 

[参考資料]

株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護『お盆の帰省は介護について考える機会に「低価格プランを持つ介護施設数ランキング」をLIFULL 介護が発表』