(※写真はイメージです/PIXTA)
大切なひとり息子…東京での生活
地方在住の斎藤大輔さん(仮名・52歳)。月収は54万円と、同世代の大卒の平均といったところです。しかし住宅ローンの返済、そしてひとり息子の悠さん(21歳・仮名)が東京の私大に進学し、学費や仕送りといった出費が大きくなっていたため、最近はより節約を意識しながら生活を送っていました。
悠さんは、斎藤さん夫婦にとって、まさに大切なひとり息子。東京の大学に進学する際、斎藤さん夫婦は息子の生活環境に最大限配慮しました。下宿先として選んだのは、オートロックでセキュリティも万全な、大学までほど近いマンション。
「東京は怖いところですから。できるだけ安心・安全なところと考えました」
仕送りも毎月欠かさず行い、悠さんが学業に専念できるよう、あらゆる面でサポート。母親は毎週、悠さんのために冷凍の作り置きおかずを段ボールいっぱいに詰めて送っており、時には掃除のためにわざわざ東京のマンションまで足を運ぶこともありました。
「大学生は学業が本分ですから。勉強に集中できるよう、できるだけサポートしてあげたいと思っていました」
そんな斎藤さん夫婦を「過保護」「やりすぎ」という知人もいたそうです。しかしすべては息子のため。周りがどう言おうが関係なかったといいます。悠さんは両親の期待に応えるかのように真面目に大学に通い、成績も良好。将来はきっと大手企業に就職して、安定した人生を歩んでくれるだろう――そう信じて疑いませんでした。
しかし、大学4年になり、就職活動の時期になっても、悠さんから具体的な就職活動の話を聞くことはありませんでした。夏を迎えるころには同年代の知人から、「子どもの就職が決まった/進路が決まった」という話が聞こえてくるように。斎藤さん夫婦は不安を感じ始めていました。文部科学省『令和7年3月大学等卒業者の就職状況』によると、大学生の就職率は4月1日現在98.0%。昨年10月1日時点では72.9%。12月1日時点では84.3%。
「決定ではなくても、就職活動の進み具合とか、何かしら話があるのではないかと思っていたんですが……」