共働きが当たり前となった現代、突如として「ワンオペ育児」の当事者になるリスクは誰にでも潜んでいます。しかし、その過酷さは実際に直面した人にしか理解できません。ある男性のケースを見ていきます。
「子育てがこんなに大変だとは…」月収46万円・38歳サラリーマン夫。夜22時、1人で食べる冷めた夕食に不意にこぼれた涙 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働きの妻が突然の戦線離脱

都内のIT企業に勤める佐々木翔太さん(38歳・仮名)は、半年前まで自分を「普通の、どこにでもいる、幸せな家庭」を築いていると思っていたといいます。月収は46万円ほど。妻・千尋さん(仮名・36歳)の給与も合わせれば、世帯年収は1,000万円を超え、都内のマンションで不自由のない暮らしを送っていたからです。

 

しかし、その日常は妻の突然の長期入院によって崩れ去りました。現在、翔太さんは小学1年生の長男と4歳の次男を抱え、文字通り「戦場」のような毎日を送っています。

 

「朝起きるのは5時半。8時前に家を出るまでに、子どもたちが保育園と学校に行く準備をして、朝食を用意して食べさせ、着替えをさせて……。毎日、毎日、てんてこ舞いです」

 

小1の壁にぶつかった長男は、毎朝「学校に行きたくない」と泣き、保育園児の次男はそれに呼応するようにぐずり始めます。

 

「以前は妻と手分けしていたので、気づかなかったんです。子どもの爪を切るタイミング、学校の提出物の多さ、水筒のパッキンを洗う面倒くささ。そんな些細なことが、分刻みのスケジュールのなかでは致命的になります」

 

会社には事情を話し、残業なしで退社していますが、帰宅後も休まる暇はありません。18時半に次男を迎えに行き、そのまま学童で長男をピックアップ。夕食の準備をし、子どもたちが食べている間に掃除・洗濯を行い、風呂に入れたら、時刻は22時前。

 

「子どもたちが寝たあと、静まり返ったリビングで1人食事をする。またすぐに明日が来ると考えると、不意に涙が出てくる。この生活がいつまで続くのか、当時は絶望しかありませんでした」

 

翔太さんも千尋さんも実家は遠方にあり、頼れる親戚も近所にはいません。職場の同僚に愚痴をこぼしても「大変だね」と返されるだけで、その実態を共有できる相手がいないのが現実です。

 

「夫婦共働きでやってきたけれど、家事・育児の多くは妻が担っていました。こんなに大変だなんて、思ってもみませんでした」